No.106 今年は、参議院議員通常選挙の年です

 今年は、参議院議員通常選挙の年です。というわけで、今回の「大和主義! !」は参議院議員について復習し、参議院(議員)の意義について考察してみたいと思います。

参議院(議員)とは

 我が国の「最高機関」は国会です(憲法41条)。そして、国会は衆議院と参議院で構成されています(憲法42条)。ですから、衆議院議員も参議院議員も「国会議員」です。しかし、同じ「国会議員」でも衆議院(議員)と参議院(議員)とはいろいろな「違い」があります。以下に衆議院(議員)と参議院(議員)の違いをいくつか挙げてみます。

一.任期と解散の有無

衆議院議員の任期は4年で解散があります。したがって、任期の途中でも衆議院が解散した場合は失職します(憲法45条)。一方、参議院議員の任期は6年で、参議院は解散しません。そして、3年ごとに半数を改選します。今年はその半数の改選期にあたります(憲法46条)。

二.被選挙年齢(議員になれる年齢)

衆議院議員は、25歳。参議院は30歳。

三.参議院の緊急集会

衆議院が解散中に国に緊急の必要がある場合は、その時点で唯一の国会議員である参議院議員の緊急集会を求めることができます(憲法54条2項)。

四.法律案の議決

基本的に法律案は衆議院と参議院で可決されたときに法律となります。ただし、参議院が否決した場合でも衆議院が再び2/3以上で議決した場合は法律が成立するなどの「衆議院の優越」が認められています(憲法59条)。

五.予算の議決

予算は先に衆議院で審議することになっています。そして、参議院が否決して、両院協議会を開いても意見が一致しない場合、衆議院の議決が国会の議決となります。予算の審議・議決でも「衆議院の優越」が認められています(憲法60条)。

六.条約承認

条約の承認も参議院が衆議院と異なる結論を出し、両院協議会でも一致しない場合は、その条約を国会が承認したことになります。「衆議院の優越」。(憲法61条)。

七.内閣総理大臣の指名

内閣総理大臣の指名は、衆議院と参議院がそれぞれ行いますが、衆議院と参議院の指名が異なった場合は、衆議院が指名した人が総理大臣になります。「衆議院の優越」。

このように見てくると、「衆議院の優越」が多く認められて、衆議院解散時の参議院の緊急集会以外には、参議院には「これ」といった意義がないようにも見えます。それで、世の中には、「参議院不要説」のような考えもあるのです。しかし、本当に参議院は必要のない「ムダ」なものなのでしょうか。私は参議院は必要であり、参議院が本来期待されている役割りを十分に果たすことにより、国会はより民意を反映していくものになると思っています。以下に私が参議院を必要と思う理由をいくつか挙げてみます。

参議院の意義

 参議院議員は衆議院議員より被選挙権年齢が高く、解散もなく、任期も6年と長い。これは何を意味しているのでしょうか。参議院は、「良識の府」と言われることがあるように、「良識のある年長者」がじっくりと政策に取り組むのに向いています。衆議院は、年齢も若く、任期も短く、解散もあるので、「直近」の「民意」を反映しやすいですが、その反面、そのときの「感情」に左右されがちです。皆が同じ方向に向かって突き進む時、「ちょっと待った! !」と言ってくれる存在は大変貴重です。私は、参議院に期待される役割りは、「それに尽きる」のではないかと思っています。ですから、参議院議員には、衆議院議員以上の「専門性」と衆議院議員以上の「良識」が求められるかもしれません。マッカーサー草案にあった国会は一院制でした。これを修正して、西欧型民主主義の主流であり、大日本帝国憲法の伝統を受けついで、我が日本国憲法はあえて、「二院制」を採用したのです。二院制の下で参議院は上院にあたります(大日本帝国憲法下では、貴族院と衆議院があり、貴族院が上院でした)。我が憲法があえて二院制を採用したのは、一院制による「急激な」民意の変化を懸念したのかもしれません。民主主義は「手間」と「時間」のかかる制度です。だから、必ずしも、効率だけでは考えられません。「時間をかけて」「じっくり考える」ことが必要な場合があります。「立ち止まって」考えるべき時があります。憲法が「良識の府」に期待したいのはそういうことだと思います。そのためには、参議院議員には「良識のある人」になってもらう必要があります。いろいろな経験をした人になってもらう必要があります。参議院が「良識の府」となれるかどうかは、ひとえに私たち有権者の判断にかかっているのです。「主権者」である私たちは、その主権を「国会における代表者を通じて」行使することになっています(憲法前文)。今年の夏、私たちには、主権者としての行動が期待されています。自由民主党は、「責任政党」として、国民の皆様方に自信を持って、候補者を公認・推薦してまいります。