No.123 「議会改革」の必要

「議会改革」の必要

憲法93条は「地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する」と規定されている。つまり、地方公共団体に「議事機関としての議会」を設置することは「憲法的な要請」なのである。しかし、近年、国民・住民の地方議会への関心は低くなってきており、議会や議員が注目されることがあるとすれば、政務活動費の不正受給などの「不祥事」ばかりで、住民意思の「代表」として機能しているといった議会の「本来的な役割」で注目されることは稀である。議会への関心の低さは、その投票率に如実に現れており、本市においても、かつては80%を超えていた(町制時代は91.02%のときもあった)投票率も近年は50%を切ってしまっている状態である。これ以上投票率が下がってしまえば、選出された議員は本当に「住民」の代表と言えるのだろうか?といった、「民主主義の本質」に関わる疑問さえ出てくるのである。投票率の向上は喫緊の課題であるにしても、投票時間を延ばしたり、投票所を増やしても抜本的な解決策にはならない。住民の信頼と、その必要性を議会が満足させられない限り、このような危機的な状況は今後も続くと思うのである。では、地方議会は「不要」なものなのであろうか?私は、断じてそのようなことはないと信じている。もし、住民の多くが、議会を「不要」と感じるのであれば、それは「議会」が不要なのではなく、「今」の「議会」が不要なのであろう。ここに「議会改革」の必要性がある。議会も議員も真摯にこの問題に向き合って、住民に「真に必要とされる」議会としていかなければならないのである。以下に「議会改革」についての私見を申し上げる。

「二元代表制」の議会。

憲法93条2項は「地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が直接これを選挙する」と規定している。すなわち、地方公共団体の長(本市の場合は「市長」)と議員は「同じ」住民が「直接選挙」して選ぶ。これが「二元代表制」である。したがって、当然にそれぞれの役割は異なる。「市長」に求められる役割は「執行権」であり、議会に求められる役割は「議決権(決めること)」と「(執行権の)監視機能」である。つまり、本来的な「議会」と「長」との関係は、「議会」が決めたことを「長」が執行し、長が執行したことを、「議会」が(議会が決めたとおりに執行しているかを)チェックするということなのである。したがって、普通に考えれば、「議会」は地方自治において、かなり強力な力を持っているはずなのである。ところが、実際には、「議会」と「長」の力の差は、ほとんどすべての自治体で歴然としていて、「長」の権力の強大さの陰に議会の力は圧倒されているのである。なぜか?それは、「二元代表制」で「対等」なのは、「長」と「議会」であって、「長」と議員ではないからである。そして、議会の「議決権」もそれは「議会」の機能であり、議員はその一部を担っているにすぎないのである。同じく、議会のチェック機能も「議会」として発揮される時に最大限の力を発揮できるが、議員が「個人」として行使する場合は、その機能も極めて限られたものになってしまうのである。そうすると、「二元代表制」としての議会が、憲法の意図した機能を十分に発揮するために求められていることは自ずと明らかである。つまり、「議会」が「議会」としてまとまって行動するときに、地方自治制度が意図した「二元代表制」のメリットが十分に実現されるのである。「二元代表制」における「議会と「長」の関係には、「制度内在的」に対立的な構造があるといわれている。「対立」構造といっても、常に「対立」しているとか「喧嘩している」という意味ではない。両者は、有権者たる住民に対して、いずれの政策が優れているか、いずれの政策が住民の意思に合っているかを、切磋琢磨して、「競争」することが求められているということである。健全な「競争」はより良いものを生み出す。したがって、「議会」と「長」が住民のために健全な「政策競争」をしていけば、結果として、住民にとってのより良い政治が実現されるはずなのである。「議会改革」は多くの議会が取り組んでいるが、その目的とすることは、本来このことであるべきである。つまり、「二元代表制」の一翼を担う「機関」として、本来求められている機能を十分に果たすための「議会改革」。そのための「政治改革」としての「議会改革」なのである。

改革すべき事柄。

「議会改革」を進める上で、現在最も「ネック」になっていることは、以前にも書いたが「全会一致」のルールである。もちろん、通常の議案は、「多数決」で決せられる。ただ、「議会改革」や「議会運営上」のことは「全会一致」で決めるというのが、議会の長年の慣習になっている(これは、大和市議会だけでなく、多くの議会で似たようなルールになっている。)。これを改めて、「多数決」にすることが、「議会改革」の「一丁目一番地」である。その上で、議会が「二元代表制」の一翼として機能するための、様々な「改革」を進めて行かなければならない。まず、議会が「議決権」を正しく行使するためには、「議員同士」の更なるでディスカッションが必要である。そのために行われなければならない「議員間討議」。地方議会は元々「アメリカ大統領型」といわれていたように、当初の制度設計では、議会審議に「長」や執行部の役人(部長など)は入っていなかったという。つまり、「議会」が決めたことを「長」や執行部が「執行」するという型がより明確だったわけである。ところが、現在は議会審議といえば、議員が「長」や執行部に対して行うものになっている。これを改め、「議員同士」が「喧々諤々」とやらなければならない。それで、合意できないときは、「多数決」で決め、決まったことには「議会」として従う。これで「議会」はまとまっていく。こういう、審議を行い、「長」と「議会」が政策において「競争」していかなければならないのである。このような「政策形成」の最も「基礎」となることが「議員間討議」である。「議員間討議」は、今回の議会改革実行委員会でも審議したが、残念ながら「合意」に達することができなかった。やはり、「全会一致」は「議会改革」の妨げになる。これを何とかしなければならないと議長にも強く申し入れた次第である。次に、「議会」の「チェック機能」として特に重要なものが、予算の承認・決算の認定である。大和市議会は、現在、予算も決算も所管の常任委員会が所管毎に審査しているが、私の提案は、「予算・決算委員会」を設置して、予算・決算については、全体的にも、またより詳細にも、当該委員会で審査を行うべしというものである。いっぺんに「理想」までは難しそうなので、段階的に進めるべく、「案」を会派(自民党・新政クラブ)でまとめ、議会運営委員会に提出できるように準備を行った。12月定例会中の議会運営委員会で審議されるものと思われる。三つ目は、「議会」に「法制局」を設置することである。「議会」が条例を審議し、自ら条例を提案するためには、法律に通じた「法制局」が必要である。まずは、その前段階として、大学との「提携」の「案」を会派でまとめた。これは、各会派の代表者会で協議されるはずである。「議会改革」として行うべきことは他にも多々あるが、まずはこの三点の「改革」が必要であると考えている。しかし、これらの「改革」を成遂げるためには、その前段階として「全会一致」のルールを改めることが必要であろう。「議会改革」は、「議会」が住民からの信頼を得て、これからも民主主義の中核として存在していけるかどうかを左右する最重要課題であると思っている。中村一夫は、「政治的使命」として今後とも「議会改革」に全力で取り組んでいく! !

11月の「意見交換会」のご案内。

毎月恒例の「意見交換会(市政報告会)」を今月は下記のとおり行います。「座談会形式」で行うミニ集会ですので、お気軽にお越し下さい。皆様のお越しをお待ちしています。

日時 平成28年11月19日(土) 15時30分から17時30分まで。
場所 渋谷学習センター(イコーザ) 306和室。小田急線高座渋谷駅西口下車すぐ。

※今月は時間が異なっていますので、ご注意下さい。