No.133 地方自治体の議会。

地方自治体の議会。

日本国憲法第93条1項は、「地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する」とし、地方自治法第89条では「普通地方公共団体に議会を置く」と規定しています。このように、「大和市議会」は、憲法と法律(地方自治法)に基づく組織であります。地方公共団体(地方自治体)に議会を置く「目的」は、当該地方自治体に関することを議事(議決)することです。定例会の初日には、新年度予算(3月)や決算(9月)の他、補正予算、条例案や重要な契約への同意案件、人事に関する同意案件、陳情書、請願書などが議題として上程されます。大和市議会では、それぞれの議案に説明がなされた後、4 つの常任委員会(総務・厚生・文教市民経済・環境建設)に付託されて審査されていきます。そして、(議案は)各委員会での審査を経て、定例会最終日の本会議で採決されます。大和市議会には、年4回の定例会があり、各定例会はおよそ30日間開催されています。定例会の目的は、第一に「議案の審議」であり、市民の代表として議案を審議し議決していくことは、「議会制民主制」にとって最も重要なことであります。中でも毎年3月定例会には、新年度の当初予算案が上程され、この予算案をしっかり審査し議決する(承認するか否かを決める)ことは地方自治法が地方議会に求めていることです。

大和市議会における予算審査。

予算案は、4つの常任委員会にその所管の事業毎に分割付託されて審査されます。委員会では、予算書のページを繰って委員が挙手し、委員長の指名によって発言します。この方法には、項目毎に詳細な審査ができるというメリットがある反面、項目を跨いだ、横断的な質疑が出来にくいということや、より高所からの政策的な議論が出来にくいというデメリットがあります。そこで、現在の予算審査の良い点を残しつつ、デメリットをカバーできるように、予算審査の改善案を提案しました。主な改善点は、予算委員会を設置して、最初に各会派からの予算案に対する「代表質疑」を導入することです。「代表質疑」によって、予算案全体や、項目を横断するような予算の重要ポイントについて、「より政策的」な質疑を行うことができるようになるとともに、傍聴やインターネットを通して視聴される市民の方にも予算のポイントを分かり易くお示しできるものと思い提案しました。残念ながら、今回の提案は3/23に開催された議会運営委員会で採用されなかったため実現できませんでしたが、引き続き取り組んでまいります。

「一般質問」について。

私は、議会が「二元代表制」の一翼を担う機関としての機能を十分に発揮するためには、議案の審議能力をより高めていくことが重要であると思っています。しかし、現在の大和市議会の中心的会議は「一般質問」です。一般質問は、各議員が「議員個人としての立場」で直接「行政機関」に政策提案や施策に対するチェックを「質問」という形で行うもので、毎回の定例会でも一番傍聴者の多い会議です。議員の提案(政策)が直接市政(行政)に反映されることもあり、市民の方々の関心も高いです。「一般質問」については、大和市議会会議規則の中に次のような規定があります。「議員は、市の一般事務について、議長の許可を得て質問できる(第61条)」。このように、本来「一般質問」とは「市の一般事務」について行われるものです。ところが、この「一般事務」の「解釈」がどんどん拡大されていって、およそ「市の」「一般事務」とはいえないようなものまで、「一般質問」で行われるようになっているという「問題」が各地で起こっています。地方議員も政治家である以上、ある程度「政治的」な発言は必要であると思います。しかし、市の(大和市の)「一般事務」からあまりにもかけ離れた議論を「質問」という形で行い、政治的パフォーマンスの「場」に傾き過ぎていくなら、それはやはり問題であると思います。大和市議会は、あくまでも「大和市」の「議会」なのですから、自治体としての大和市に、そして大和市民の生活に直結し、大和市行政が責任を持って「答えられる」「質問」をしていくことが、大和市と大和市民の「議会」の役割としては重要であると思っています。

「意見書」について。

議会に上程される議案は、行政(市長)提案の議案ばかりではありません。現在の大和市議会では3名以上の議員によって「議案」を上程することができます。以前、私も「議員提案」で「大和市商業振興条例」を上程し、成立させたことがあります。このように「条例案」を「議員提案」で「議案」とすることもできます(私は、「議員提案条例」こそ自治体の「立法機関」としての「真骨頂」だと思っています)が、多くの「議員提案」の「議案」は「意見書」提出に関するものです。地方自治法第99条には次のように規定されています。「普通地方公共団体の議会は、当該地方公共団体の公益に関する事件につき、意見書を国会又は関係行政庁に提出することができる」。大和市議会でも毎回多くの「意見書」が「議員提案」の「議案」として上程され、審議されています。「意見書」の審査は、定例会の最終日に行われていますが、この「意見書」の範囲についても再考する必要があると感じています。なぜなら、先程「一般質問」が市政の範囲を超えて政治的パフォーマンスの場になっていることについての懸念を示しましたが、「意見書」の審査においては、一層その傾向が強いからです。もう一度、「意見書」を提出する法的根拠である地方自治法99条を見てみますと、「普通地方公共団体(大和市)は当該地方公共団体(大和市)の公益に関する事件」について「意見書」を提出できるとなっています。この条文を「法文に忠実」に解釈すれば、「意見書」の提出には「当該地方公共団体」の「公益」という一定の限界があるとみるべきです。ところが現在は、国政の問題も「大和市民も日本国民なのだから」と際減無く拡大されていき、定例会最終日は、さながら「国会」のような審議になったりします。これは、大和市の「議会」としてはいかがなものかと思います。大和市議会は大和市のことをもっと深く、もっと詳細に審議する場でなければなりません。「意見書」の乱発や政治パフォーマンスに傾いている現状については、今後考えていかなければならないと考えています。

引き続き「議会改革」を。

私はこれまでも積極的に「議会改革」に取り組んできました。私の「議会改革」のポイントは、議会が「二元代表制」の一翼を担う機関としてさらに機能強化していくことです。なぜなら、「二元代表制」がしっかり行われることが、自治体の健全な運営には不可欠だからです。そのためには、「議会」の審議(審査)能力を上げていくことが大切であると考えています。そういった「本質的」な「改革」を忘れて、議会が政治的パフォーマンスの場となってしまったのでは、市民の信頼を失ってしまいかねません。今年度は議会基本条例の見直しも行う予定です。引き続き、「市民のための議会改革」を進めるべく、その「先頭」に立ってまいります。