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No.321 民法等の一部を改正する法律について

討議資料
民法等の一部を改正する法律が成立・公布されてから間もなく一年がたとうとしています(令和6年5月成立・公布)。今回の改正では、今まで離婚後の親権を「単独親権」に限っていたものが「共同親権」も選択肢に加わりました。これは、我が国における離婚後の「親子関係」にとって画期的なことです。同法は、公布から2年以内に施行される予定ですから、予定どおりであれば施行まであと1年となりました。今回の改正は、戸籍事務を扱う、また多様化する子どもの養育に関わる施策を実施する地方自治体にとっても大変重要な法改正となります。以下に改正法の内容やその影響等について考えてみます。

〇法改正の背景と課題

法改正の背景としては、父母の離婚が子の養育に与える深刻な影響や、子の養育のあり方の多様化といった現状があります。また、養育費や親子交流の取決率も履行率も低調であることから、離婚後も、父母双方が適切な形で子を養育する責任を果たすことが必要になっています。このような社会状況や課題を踏まえて、法律の改正が検討されてきました。令和3年3月には、法務大臣から法制審議会への諮問がなされ、令和6年2月には、法制審議会から法務大臣に答申がされています。これを受けて、令和6年3月に法律案が閣議決定され、令和6年5月に改正法が成立・公布されました。                                  

〇親の責務等に関する規律を新設

改正法では、婚姻関係の有無にかかわらず父母が子に対して負う責任を明確化しています(民法817条の12)。これは、「子の健全な発達を図るため子の人格を尊重すること、父母が互いに尊重し協力すること」を含んでいます。また、親権が、子の利益のために行使されなければならないものであることが明確化されました(民法818条等)。

〇親権に関する規定の見直し

今回の法改正の最大のポイントは、離婚後の「親権」に関して、「共同親権」を認めたということです(民法819条等)。これまでは、離婚の際にどちらか一方を「親権者」に定めなければなりませんでした。これによって、「親権」を持たない親と子どもとの間に親子の断絶が出来てしまったり、そのことに起因する子どもへの多くの影響が問題とされてきました。「共同親権」を認めるかどうかは、今回の法改正の中でも多くの時間をかけて議論されてきたことです。賛成、反対様々な意見があり、「政局」のようになったときもありました。しかし、私は「親子の問題」を決して「政局」とすることがあってはならないと思います。また、極端な例を引き合いに出して是非を論じるべきでもないと思います。基本に立ち返って考えてみれば、子どもは両親がいて生まれたのであり、両親双方に愛される「権利」があるのです。子どもにとって、一方の親とのかかわりが「害」になるような「極端」な場合は別として、基本的には、子どもは両親に育てられるべきであり、両親も子どもの養育に「責任」を果たすべきではないでしょうか。改正法では、協議離婚の場合、父母の協議により父母の双方又は一方を親権者として指定することができるとしています。まず、離婚する夫婦は、「単独親権」にするか「共同親権」にするかを「協議」で決めることになります。この場合も「子どもの利益のために」にそれを決めなければなりません。もし、協議が整わない場合は、裁判所が「子の利益」の観点から父母の双方又は一方を「親権者」として指定することになります。また、子どもの利益を害する場合には「単独親権」とすることになっています。「共同親権」に否定的な方の意見として、DVなどの子どもへの虐待をあげる方がいますが、そもそも、そういった場合は「共同親権」になりません。
加えて、婚姻中を含めた親権行使に関する規定の整備も行われています(民法824条の2等)。別居夫婦のように、父母双方が「親権者」のときは、親権は共同行使するとしつつ、親権の単独行使が可能な場合を明確化しています(子の利益のために急迫の事情があるとき→DV・虐待からの避難、緊急の場合の医療等)。

〇自治体現場での様々な課題

今後、様々な「親子」関係に自治体は対応していかなければなりません。別居している父母が共同して親権を行使する場合、単独で親権を行使する場合、離婚した父母が「共同親権」である場合、離婚した父母が「単独親権」である場合など、様々な状況をシュミレーションしておかなければなりません。改正法施行まであと1年。大和市は、どの程度この問題を検討しているのか、議会でしっかり質していく必要があります。改正法施行直後は、それでも少なからず混乱することがあると思いますが、子どもへの影響が最小限となるべく、自治体としては万全の備えをしておく必要かあります。

〇今もある課題

現在、離婚した父母については「単独親権」ですが、婚姻中の別居夫婦に関しては「共同親権」です。ところが、現実問題として、「親権者」であるにも関わらず、別居している親は「親」として扱われていないケースが存在しています。DVなどの問題で裁判所から接近禁止命令が出されている場合などは別ですが、そうでない場合でも、子どもに関するさまざまなかかわりを拒否されて苦しんでいる別居親の方は少なくありません。もちろん、夫婦間の問題は複雑ですから、画一的に論じられるべきものではありません。だからこそ、個々の事例に丁寧に対応していく必要があります。そういった、「相談」は私たち「地方議員」のもとにやってきます。多くの地方議員と意見を交わす中、こういった問題に積極的にかかわっている議員が全国各地にいるということがわかりました。そこで、北は北海道から南は沖縄まで、全国各地の地方議員が「超党派」で「議員連盟」を結成しました。その名も「別居・離婚後の親子関係を考える地方議員の会」です。同じく「超党派」の国会議員からなる「共同養育支援議員連盟」の方々と連携しながら、これらの問題に取り組んでいます。

〇別居・離婚後の親子関係を考える地方議員の会

の活動としては、今回の民法等改正について、「意見書」を提出するなど、法改正の実現に間接的にかかわってきました。また、共同親権や共同養育について、識者による勉強会を開催したりして研鑽を積んできました。また、全国各地の自治体の取り組みについて「意見交換」をしたり、そういった情報を基に所属する議会での「一般質問」等の機会を活用して政策提案もしてきました。今回、議連としては初めてのことですが、先進的な取り組みをしている自治体を視察し、研修を行います。内容としては、自治体が行っている親子交流支援や学校等での行事参加に関することです。子どもと別居している親にとって、子どもとの親子交流や学校等での子どもの行事に参加することは「悲願」です。こういった、子どもとのかかわりに「行政」が関わることは、夫婦(元夫婦)にとって安心の材料となるようです。自治体が夫婦(元夫婦)に寄り添い、何よりも子どもの福祉のためにこういった事業を積極的に行っていることは素晴らしいと思います。ぜひ、本市でも参考にしたいと思います。

〇何よりも子どもたちのために

今回の法改正は、我が国における離婚後の親子関係を大きく変えるものとなるはずです。それが、何よりも子どもたちのためになることを切望します。様々な理由で離婚されるご夫婦があります。それはご夫婦で決められたことであり、他人が、ましてや国や自治体がとやかくいうことではありません。それでも、子どもたちにとっては、「親」であることに変わりありません。子どもたちとご両親が一番良い仕方でかかわり合えるように、そういった社会となるように「陰ながら」そっとサポートできればと思います。デリケートな問題ですから、出過ぎることのないように慎重に取り組んでまいります。

No.320 令和7年度一般会計予算について

[討議資料] 2月25日(火)から3月24日(月)まで、28日間の会期で開催された令和7年第1回定例会には、令和7年度大和市一般会計予算が上程されていました。この予算案には、我々自民党・新政クラブから「修正案」を提出しましたが、議会は、この「修正案」を否決し、予算原案も否決したため、令和7年第1回定例会においては新年度当初予算が成立しないという、大和市議会の歴史上おそらく初めての事態となりました。市長は、急遽3月28日(金)に臨時会を招集し、修正した令和7年度一般会計予算を提出し直し、同日、賛成多数で令和7年度一般会計予算は可決成立しました。市長が3月28日(金)の臨時会に提出した予算案は、3月25日(月)に自民党・新政クラブが提出した「修正案」に近い内容でした。そもそも、今回私たちは、なぜ当初予算案を「修正」したのでしょうか。以下にその理由と内容をご説明します。

〇予算案を「修正」した理由

今回、予算案を「修正」した最大の理由は、本市の深刻な財政難です。令和7年度の計算上の財源不足は、25.3億円です。市は財源の不足を、市の「貯金」ともいわれる「財政調整基金」を取り崩して補填してきましたが、その「財政調整基金」も令和5年度末には約60億円あったものが、令和6年度末には約40億円にまで減少しました。わずか、1年間で20億円もの「貯金」が無くなったのです。令和7年度も歳入(収入)が不足することから財政調整基金のさらなる取り崩しが見込まれており、令和7年度末には財政調整基金は、30億円(あるいはもっと)ぐらいまで減少するのではないかと危惧されています。そのような中、市は「令和7年度予算編成方針」というものを出しています。その中で「令和7年度の予算編成は、財源不足が依然厳しい状況にあることを踏まえ、新規事業や充実事業については、社会経済状況に照らし、真に必要な事業のみ、計上を認めることとする」と明記しています。この「方針」に照らして「予算案」を精査した結果、私たちは次の4つの事業を「修正」しました。

〇放課後児童のエンジョイスポーツ

この事業は、「放課後児童クラブ事業」の中で提案された事業ですが、事実上の「新規」事業だと認識しています。そもそも、放課後児童クラブは、共働き等の理由で日中不在にされている保護者のために、放課後も児童を「クラブ」でお預かりする事業で、要件に「合致」した児童を対象にしています(会員保護者は育成料を市に納めます)。ところが、今回、提案された「エンジョイスポーツ」事業は、クラブの児童だけでなく、全校児童を広く対象としています。にもかかわらず、事業としては、放課後児童クラブの「枠」の中で実施するというのです。放課後児童クラブの支援員さんたちは、今でさえ業務が多く大変です。急にこのような「新規」の事業を振られて本当に行えるのでしょうか。普通、このよう新規事業を実施する場合、何校か「パイロット校」を選んで実施し、課題を整理した上で全校実施するのですが、どういうわけか、今回は全校一斉に実施するというのです。詳細な事業内容がまだ決まっていないにも関わらず、予算(約500万円)だけが決まっています。これは、今後毎年かかる費用です。そして、その予算のほとんどは、「スポーツを教えてくれる」方への謝礼だというのです。スポーツの内容も「専門的」なものではなく、いろんなスポーツを体験するといった程度のようで、いわゆる「スポーツクラブ」のような専門的な指導ではないようです。1年生から6年生まで体格も大きく違う子どもたちを、クラブの子どももそうでない子どもも一緒に安全に指導することは本当に可能なのでしょうか。何の「検証」もしないまま、「見切り発車」することは大変危険だと思っています。しかも、そもそも本事業は放課児童クラブの事業ではありません。放課後児童クラブにはそれでなくても課題が多くあります。手狭な施設、子どもたちが遊ぶおもちゃや読む本の不足、折り紙でさえ、一人一日2枚とか3枚とか制限されているというクラブもあるそうです。このように、非常に厳しい運営がなされている中で、本当にクラブの子どもたちはエンジョイスポーツを望んでいるのでしょうか。新しい事業を始めて、謝礼として500万円も支払う財政的「余裕」があるのであれば、せめて折り紙ぐらい自由に使えるようにしてあげた方が子どもたちは喜ぶのではないでしょうか。私たちは、本事業が、「放課後児童クラブ事業」ではないこと、事業の詳細がしっかり検討されていないこと、何よりも、「令和7年度予算編成方針」にあるとおり、今どうしても「真に必要な事業」とは思えないことから、本事業の再検討を求めました。しかし、市長は「どうしても」本事業をやりたいという強い思いを示されましたから、ではまず、いくつかのパイロット校で実施して検証すること、そして、今後は、「放課後児童クラブ事業」とは別の事業として検討することなどを求めて予算を「修正」しました。

〇うまいもの市開催事業

うまいもの市は、一日の開催で来場者は約1万6千人、予算は約900万円でした。来年度は少し減額して約700万円になりましたが、それにしても、たった一日のイベントに700万円とは、財政難の本市にとって、本当に「真に必要な事業」といえるのでしょうか。ちなみに、「大和阿波踊り」は、2日間開催で、約21万人の来場者といわれていますが、市からの補助金は200万円です。昨年から始まった高座渋谷のイベント「渋祭」は1日開催で、来場者約1万2千人。市からの補助は136万円です。中央林間手作りマルシェは、約4万人の来場者ですが、市からの補助はゼロです。いかに、うまいもの市に破格の予算がつぎ込まれているかお分かりになると思います。私たちは、大幅に予算を削減する「修正案」を提出しました。

〇海外青少年交流事業業

この事業も事実上の新規事業で、「海外友好都市等交流事業」の「枠」の中で提案されています。本来、この事業は海外友好都市である韓国・光明市との交流事業などを想定しているものです。今回は、それに加えて、厚木基地内プールで、アメリカ人の子どもと本市の子ども(それぞれ約10人)を対象に「サップ」というスポーツを行うというものです。基地の子どもと本市の子どもが交流することは良いことだと思いますが、なぜ、「サップ」なのでしょうか。市長は、「現地・現場主義」と言いますが、一体だれが、どれだけの人が「サップ」をやりたいと言っているのでしょうか。本当にやりたがっているのは誰なのでしょうか。予算は30万円ぐらいとそれほど大きな額ではありませんが、この程度の規模の事業としてはかなりの金額とも思えます。そもそも、財政難の今「真に必要な事業」なのでしょうか。私たちは、「修正案」でこの事業を削除しました。24日の本会議で私たちの「修正案」は否決されましたが、28日の臨時会では、この事業を削除した市からの修正案が可決されました。

〇歌謡イベント

これは、いわゆる「カラオケ大会」をやるという事業ですが、「観光等促進等事業」の「枠」で実施するものです。この事業は古谷田市長になって廃止されましたが、一年後に「復活」しようと上がってきました。まず、「カラオケ大会」は「観光等促進事業」なのでしょうか。また、一回やめたものをなぜすぐに「復活」させるのでしょうか。しっかり検討した上で廃止したのではなかったのでしょうか。「朝令暮改」は行政の信用を失墜させます。1年前と比べて、本市の財政は決して好転していません。本事業は「真に必要な事業」なのでしょうか。そもそも、財政難の本市で税金を使って「カラオケ大会」をやるべきなのでしょうか。この事業を楽しみにされていた方には大変申し訳ありませんが、本市の厳しい財政状況に鑑みて、本事業を削除するよう「修正」しました。24日の本会議では、私たちの「修正案」は否決されましたが、28日の臨時会では本事業を削除した市からの修正予算案が可決されました。

〇予算についての私の考え

予算を提案するのは市長の権限ですが、それを決めるのは議会の権限です。予算を決める機関と執行する機関が同一であれば、それは「独裁政治」となるおそれがあります。地方政治は予算を執行する機関(市長)と決める機関(議会)を分けることで、「独裁政治」をけん制しています。「最大会派の自民党・新政クラブが予算を否決するなどとんでもない」と仰る方もおられますが、最大会派だからこそ、市政に責任を果たしていかなければならないと思います。紙面の都合で十分に説明できなかったこともあるかと思いますが、ご不明なことがあれば、また個別にご説明させていただきたいと思います。本市の財政難はしばらく続くと思います。優先順位を見極めて、何が市民にとって「真に必要な事業」なのか判断していかなければなりません。まずは、しっかりと財政再建を行い。持続可能な社会を維持していくために引き続き尽力してまいります。

〇市政に関してお気づきのことお困りのことがあったらご連絡ください。
090-3904-0813     yamatosyugi@gmail.com

No.319 保育園で不適切保育について

討議資料
市内の小規模認可保育園での不適切保育の疑いについては、報道等ですでにご存知のことと思います。この件が報道されて以来、関係者はもとより、多くの方からもご相談を受けてきました。ことの発端は、昨年の夏、匿名の通報に始まります。市は2回にわたり、保育園を訪問しています。保育園への訪問は通報が匿名ということもあり、「通常の園訪問」という形式で行ったということです。その後、一度園からの聞き取りを実施しているようです。昨年11月15日に保育園から「園長による不適切保育に関する調査報告書」が提出されます。この報告書には、かなり深刻な児童虐待が記載されています。しかし、担当課は部長、副市長、市長への報告を行わず、市は特別指導監査も行わないで、「対応終了」としていたのです。理由としては、当該園長が退職したことと、改善点を市側に示したので「緊急性」がなくなったと判断したというのですが、このような対応に問題はなかったのでしょうか。

〇厚生常任委員会での質疑

令和7年3月3日の厚生常任委員会でこの点を取り上げて質疑を行いました。以下、抜粋を記載します。

(中村)ゼロから2歳の赤ちゃんの足を持ち逆さづりにし、無理やり給食を食べさせ、羽交い絞めにする事実があったと園が報告しているのに、なぜ、事実かどうかの確認をしなかったのか。

(ほいく課長)園の報告としては委員の言うとおりであるが、法人からしかるべき手続を経て報告書が出された。ただ、当該人は行為自体否認しており、その事実は我々の立ち入りの際にも確認できなかったので、法人が対応をとってきた、さらには、受傷報告や保護者からの被害、不適切保育の相談も、本件に関してはその時点でなく、総合的に考えて、引き続き保育の質向上に向けた通常の扱いに移った。

(中村)その判断は今でも間違っていなかったと思うか。

(ほいく課長)11月15日までの対応は適切であったと考えている。

(中村)11月15日に報告書が上がってきて、その中でそういった深刻な児童虐待、幼児虐待について書かれていたが、それに対して特別指導監査等の手だてがあるにもかかわらず、事実関係を確認しなかったことも、今でも問題なかったと思うか。

(ほいく課長)15日の報告書で再発防止対策や保護者との連携強化の報告をもらった。今回の問題に関して信頼無回復に向けた取組、保護者への周知と記述もあった。その対応等を、市から積極的に進行管理、その後の追跡はほいく課としてできたのではないかという点については、法人の主体性に任せてしまったということは、今後改善していく点と考えている。

(中村)こども部長はこの件について何か意見はあるか。

(こども部長)法人からの報告書の内容はかなりひどいもので、再発防止策等も示されていたが、担当課としては、内容の事実確認をしなければいけなかったと思っている。

(中村)市長は市の最高責任者で、小規模園の場合、認可権者は市になる。市が認可して、この保育園は大丈夫とある意味お墨付きを与え、しっかり指導監督しているから安心して子供を預けられると言っているが、今回の件についての考えを聞きたい。

(市長)全協でも話したとおり、大変重く受け止めている。11月15日に報告が部長、副市長、私のところに来ていれば対応していきたかった。これが事実であれば本当にあり得ない。自分のところに上っていれば、すぐに指導監督、そして、すぐに公表すべきであったと思う。ただ、法やガイドラインに沿ってというところもあるので、その判断は非常に難しい。ただ、今、事業者も弁護士を入れてもう一度調べ直しているが、園から、逆さづり、暴言、給食を無理に食べさせる等の報告の時点で、組織としてしっかりした報告、連絡、相談があるべきで、私はしっかりそのときに対応するべきであったと思う。だからこそ、聞いた次の日にトップミーティングを開いて、報告、連絡、相談をしっかりして欲しいと、重大案件についてはすぐに連絡して欲しいと。前市長の工事のやり直しで第三者から隠蔽体質と言われており、透明性を持っていかなければならないと思っている。だからこそ、今回、私としては組織のあり方を、報告、連絡、相談をしっかりして、さらに組織の体制強化、ガバナンス強化ももう一度見直し、両副市長、部長、みんなで話し合って改善していきたい。

(中村)同様なことは二度とあってはいけないが、再発防止をする前に、今回の事実を究明しないと再発防止といってもしようがないので、市長からも園側が新たに調査して報告書をもう一度出すと話があったが、これは園側の報告で、弁護士を入れた第三者ではないので、報告が正しいものか市としても調査をして欲しいがどうか。

(市長)今度、園側も弁護士を入れて、しっかりと調査すると言っているので、しっかり見届けていきたいし、それを見て私たちも指導監督していきたい。また、その園に通う子供や保護者の声にもしっかり対応していきたいので、市としてできることはやっていきたい。

〇何が問題か

今回の件で何が問題なのでしょうか。一つのカギとなる日付は、令和6年11月15日です。この日に園側から「不適切保育」に関する重大な報告書が出ていたにも関わらず、この時点で事実調査をしなかったということです。ところが、委員会の質疑でもあきらかなとおり、担当課は現在もさほどこのことを重要視していません。一方、担当課を所管するこども部長は、「事実確認をしなければいけなかった」と、担当課の対応に問題があったことを認めています。もう一つの重要な日付は、本年2月20日前後に、市長、副市長、こども部長がこのことを知った日です。市長は、「11月15日に報告が来ていれば対応していきたかった」と答弁していますが、この事実を知ったときも「調査をするよう」指示を出していません。このような重要な事案が明らかになったにもかかわらず、それをしっかりと調査しないことが、もっとも大きな問題だと思います。11月15日には知らなかったとしても、遅くとも今年2月20日には市長も知ったわけですから、大変遅いとはいうものの、早急に調査を実施するように指示を出すべきだったと思っています。

〇中村からの要望

3月3日の厚生常任委員会の質疑の中で、私から次の点を要望しました。(1)本件不適切保育について、事実を究明し、適切な処分も必要なら含め、必要な対策を速やかにとること。(2)通園している幼児の身体的・精神的状況を把握し、必要なケアをしっかり行うこと。(3)転園については弾力的な運用はもちろん、転園先の園が了解する場合は柔軟に対応してほしい。(4)二度とこのような事件が行らないよう、再発防止のために必要な具体策を行ってほしい。(5)子供行政を抜本的に見直し、子供が健やかに育まれる環境を整えてほしい。

〇愛知県・東郷町の事例

愛知県・東郷町の認定こども園で発覚した不適切保育に対応して、東郷町は、第三者委員会を設置して検証するほか、転園を希望する保護者や保育士を確保するために必要な予算を議会に提案し、議会は全員賛成で可決しています。ぜひ、大和市も東郷町のように、市自らが第三者委員会を設置して、事実の究明を行っていだきたい。そして、今回のことを受けて転園を希望する方にもしっかりと対応をしていただきたいと思います。今回の件で、保育園は保護者説明会を行っていますが、市は行っていません。東郷町では町が保護者に対して説明会を実施するということです。ぜひ、大和市も市みずから保護者への説明会を行っていただきたい思います。

〇信頼を回復するために

今回の事件とその後の市の対応は、「子育て王国」を自認する大和市の信頼を大いに損ないました。市は早急にこの問題に真剣に取り組み、失われた信頼の回復に努めなければなりません。引き続き、私もこの問題に全力で取り組んでまいります。この件について、ご相談がある方は、ご遠慮なく私までご連絡下さい。