No.322 大和市商業振興条例と大和市商業戦略計画について

討議資料
私は、地域経済の活性化を政策として掲げ、平成24年12月定例会で、本市議会最初の議員提出議案としての経済政策条例「大和市商業振興条例」を提出しました。この条例の特徴の一つは、商業振興についての「基本計画」策定を市長の「努力義務」として明記したことです。以前、本市にはこういった「計画」がなく、「にぎわい」とか「元気な」とか抽象的な目標によって商業施策が行われてきました。商業の振興、商店街の活性化は多くの自治体が目指していることであり、ゆえに様々な取り組み「実績」がすでにあります。そういったものを研究し、本市にあった商業振興計画を策定して、期間を定めて実施していけば、より効率的な施策を実施することができると考えました。「大和市商業振興条例」は、平成24年12月定例会で全員賛成で成立し、平成25年4月1日から施行されています。そして、本条例に基づく「基本計画」は、「大和市商業戦略計画」と名付けられ、最初の「計画」は、平成26年度から平成30年度までの5年間を計画期間として策定されました。以後、5年ごとに計画を改定することになっており、今回の改定は2回目の改定(3回目の計画)となります。今年度(令和7年4月1日)からスタートする新しい「商業戦略計画」の概要を以下にまとめてみました。

〇新しい「大和市商業戦略計画」について

「計画」を改定するにあたり、商業関係者、市民、来街者等へのアンケートを実施した結果、課題として次の三点をあげています。

(1) 会員の減少や高齢化に悩む商店会、商店街。
(2) 「子育てや高齢者をサポートする場」など、買い物の場だけでない、商店街に求められる役割の変化。
(3) 求められる情報発信能力と市の認知度向上。

そして、次のような「商業振興の目標」を設定し、その「目標」を達成するために3つの「方向性」を定めました。

【商業振興の目標】

商店街と地域が一体となって、市民や来街者の滞在。交流により新たな価値が生まれるまちづくり

〇方向性1

【やまとでお買い物!】商店会を中心とし魅力ある個店にも対象を広げた支援

〇方向性2

【やまとがにぎわう!】滞在したい空間づくり

〇方向性3

【やまとが好きになる!】やまとのファンづくり

〇「計画」に基づく主な取り組みについて

方向性1に関して

〇催事への支援

商店会を中心としたにぎわいを創出し、集客を図るため、商店会が主催する祭りやイベント・割引キャンペーン等の催事について支援する。

〇創業や新規出店への支援

市内の空き店舗を活用して出店をする場合、それに伴い生じる店舗改装費、設備導入費、賃料等への支援を通じて、新規出店やすでに市内店舗を有する商業者に新たな出店を促進する。

*今回は、「個店」に対しても支援を広げています。

方向性2に関して

〇子育て世帯やご高齢の方等への居場所づくり

単なる買い物の場に留まらない、商店街に対する役割ニーズに対応するため、既存の空き店舗を休憩所にしたり、こども食堂等の新たなサービス提供施設にしたりするなど、子育て世帯やご高齢の方等の居場所づくりに繋げられないか検討する。

〇休憩施設等の設置

滞在が心地良いものとなる設備として、商店会等が商店街に整備するベンチ、水の飲み場等の休憩施設、植樹帯、街路樹等の植栽施設の整備の支援に取り組む。

方向性3に関して

〇商品・サービスの開発・周知

「大和市といえば〇〇」と言われるような特産品やブランドの構築に向け、複数の事業者の連携によるものか個店か等を問わず、市内事業者による特産品等の開発を支援する。

〇商店街の景観づくり

にぎわい創出を目的とした、街路灯へのフラッグ・ペナントの設置等を支援する。

〇「計画」を「計画」で終わらせないために

方向性1に関して

創業や新規出店への支援は、どのような魅力的な補助・支援メニューが提供できるか、そして、いかに「やる気のある」事業者に周知できるかにかかっていると思います。当然、それは、「ニーズ」にマッチしたものでなければなりません。
商店街に新しいお店ができるだけでも、商店街が「活性化」している感じがします。こういた「感じ」は商店街の活性化にとても大切なものだと思います。企業誘致と同じで、是非、目標を持って新規出店を支援していただきたいと期待しています。今回は、支援を「個店」にまで広げていますので、魅力的な「個店」も積極的に誘致・支援していただきたいと思います。

方向性2に関して

高齢者や子育て世帯の居場所を作るといった取り組みは以前からありました。しかし、家賃など必要な費用をどうするかが大きな課題です。これまでも実際にこういった「居場所」を作ったものの、採算が合わずに閉鎖したという事例をみています。「商店街まかせ」にするのではなく、行政がどのように支援できるかが重要だと思います。

方向性3に関して

新商品や特産品、新ブランドの構築もこれまで何度も試みられてきましたが、なかなかうまくいっていないというのが現状だと思います。かつて、新商品として開発されたものの中でも今は販売されていないものも多くあります。ということは、これまでと「やり方」を変えなければならないということだと思います。新商品等の開発には、「プロ」の力も必要だと思います。「プロ」の力を借りるための資金的援助も積極的に検討して欲しいと思います。

〇「計画」の推進に向けて

「計画」を推進実現するためには、当然ながら市(行政)だけではできないことも多くあります。市内の商業者、商工会議所、国、県と連携・協力しながら行うことが必要です。また、必要に応じて施策や関連事業の見直しや改善も必要です。私としても今回の「計画」が実行性の高いものとなるように注視しつつ提案等行ってまいります。市民の皆様の「声」をぜひお聞かせください。