No.32 二元代表制としての「市議会」を目指して

二元代表制としての「市議会」を目指して!!

 地方公共団体はいわゆる「二元代表制」を採っていると言われています。国は議院内閣制を採用しているため、国の制度と地方公共団体の制度は大きく異なっています。国においては、国会で指名された人(国会議員)が総理大臣となり、政府(内閣)を作ります。従って、内閣は国会に対して「責任」を負います。

 一方、地方公共団体は、行政権の執行者たる首長(市長、知事)と議会を構成する議員を住民がそれぞれ直接「選挙」で選ぶため、首長も議員も住民に対して直接的に責任を負うことになります。「大統領型」といわれるこの制度では、行政の執行権者たる「首長」の権限が強く、それに比して議会の権限はかなり限られたものになっている。そのように言われてきました。果たして、本当にそうなのでしょうか?議会はそもそも何が出来き、何が期待できるのでしょうか?

 地方公共団体においての「議会」の役割は何でしょうか?と尋ねられると少なからぬ人は「それは行政のチェック」だと言います。たしかにそれも大切な議会の役割です。また、議会には執行権はありませんから、「行政に要求して、それを実現させること」だと言われる方もいます。それも間違いではありません。

 しかし、これからの地方自治を考えたとき、私は議会の最も重要な仕事は「自治体の立法機関」としての役割であると思っています。地方自治法第96条1項は議会のやるべき事として「条例を設け改廃すること」としています。「条例」は地方公共団体の議会が議決する「自主立法」であります。

 なぜ、法律はこのような「強力」な権限を「議会」に認めているのでしょうか。それは一つには議会を構成する議員が住民から直接選挙で選ばれているということ、そしてもう一つは議会が「合議制」の機関であるというとであると思います。同じ住民から直接選ばれた「代表」である「首長」は「独任制」の機関であります。今日のように多様化した住民のニーズにはどんなに有能な方であってもたった「一人」で代表することは困難であります。

 従って、様々な背景、価値観を持つ住民の必要に応えるためには、「合議制」の機関がより相応しいと考えられているからでありましょう。ところが、議会は長年にわたって、このような法の要請に必ずしも十分に応えてきませんでした。ただ、「一般質問」などで「要求」したり「持論を展開」しただけで役割を果たしてきたとしたり、また、行政側が準備した「条例案」やその他の議案を追認するだけの機関になってしまっていました。

 これが「議会不要論」の根本的な原因(理由)であると思っています。本来は「合議制」の機関である議会が中心に自治を行った方が多くの住民の必要にかなった政治が実現できるはずです。今こそ、そういった意味での「議会改革」を行うことが急務となっています。

 条例の制定を例にとると、議会と首長の関係は以下のような形が望ましいと考えています。自治体の「ルール(法)」としての「条例」は議員が提案し、議会内で十分な議論を重ね、住民の意見等もしっかり汲み上げて「議会」で成立させます。その後、執行権は首長が担うわけですが、我が国は、「法に基づく行政」を執行する体制でありますから、行政の執行権は住民の代表である議会が定めた「ルール」から逸脱しない範囲で行わなければなりません。

 行政が「ルール」どおり執行権を行使しているかをチェックするのが本来の議会の「チェック機能」でありましょう。そして、それら一連の過程を住民がしっかりと見定めていく。これが、本来の「議会制民主主義」のあり方であると考えています。

 私は、昨年来「地域経済活性化」について何度も「一般質問」等で取り上げ、行政に経済政策にもっと力を入れるよう求めて参りました。しかしながら、現在に至るまで積極的な経済政策は示されていません。「二元代表制」の一翼を担う議会としては、行政に対して、「政策条例」を提示して、その実現を求めていくことができるはずです。

 現在、まず「商業分野」に特化した「経済政策条例」を議員提案で成立させるために尽力しています。昨年の12月から具体的な準備を始めて間もなく一年。このようなことは、大和市議会では初めてということで、いろいろ大変ですが、一歩一歩前進しています。議会は「合議制」の機関でありますから、さまざまな考えの議員がおられます。議員間で議論しながら合意を形成していくということは予想以上に難しいと実感しています。

 それでも、このような具体的な動きが、議会を住民のための「二元代表制」の機関に改革していくためには絶対必要な「苦しみ」であると確信しています!今後とも、頑張って参りますので、ご意見等お寄せ下さいますようにお願い申し上げます!!