No.45「自治基本条例調査会」が立ち上がりました

 大和市自治基本条例は、平成14年10月に公募市民を中心とした「自治基本条例をつくる会」がスタートし、多くの議論、意見交換が行われ、約2年半後の平成17年4月1日に施行されました。「大和市の憲法」という「触込み」で大々的にアピールされた「基本条例」でしたが、施行されて8年が経過し、現在では「大和市の憲法」とはほど遠い運用となっています。

 その一方で、制定当時からいくつかの「問題点」も指摘されていました。この度、自由民主党大和市連合支部(支部長 藤代ゆうや県議)は政務調査会(会長 中村一夫市議・行政書士)内に「自治基本条例調査会」を立ち上げました。民間の弁護士に座長をお願いして、自治基本条例の「問題点」などを本格的に検討し始めました。今後、様々な機会にご報告してまいりますので是非ご注目下さい。


大和市自治基本条例の問題点。

 大和市自治基本条例の問題点は今後の会議を通して検討してまいりますが、もっとも大きな「問題」は「市民」の定義だと思っています。大和市自治基本条例第3条は用語の定義をしている条項です。その第1号は「市民」について次のように規定しています。

 「市内に居住する者、市内で働く者、学ぶ者、活動するもの、事業を営むもの等をいう」。お分かりのように、大和市の「市民」は大和市の「住民」ではなく、もっと幅広い人々なのです。一見、広い先進的な考えのようにもとれ、制定当時も「自治と協働」を進める上で「市民」を「住民」に限定するのではなく、もっと広く定義することは「地方分権時代」にふさわしいといわれてきました。

 しかし、本当にそうでしょうか?我が国の憲法は第92条で「地方自治の本旨」ということばを使っています。この「地方自治の本旨」は一般的に「住民自治」と「団体自治」を意味していると言われています。もうお気づきのように、「地方自治の本旨」は「市民自治」ではなく「住民自治」なのです。そもそも地方自治は「その地域に住んでいる人によって、その地域の自治を行う」ということが「大原則」なのです。

 ところが、大和市自治基本条例は憲法にもない「市民」という概念を条例レベルで「創造」し、その「市民」に大和の自治を行う「権利を付与」したということに大きな問題があると思っています。しかも、大和市自治基本条例第3条第3号では「市」について「住民、市議会、執行機関によって構成され、市民に対して地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を担う自治体をいう」と定義され「住民」を構成メンバーとする大和市は「市」の構成メンバー外の「市民」に対しても、行政サービス等を行なうことになっています。

 地方自治が本来「住民の住民による住民のための自治」であったことを考えれば、大和市自治基本条例の考えは自治本来の思想から大きく逸脱してしまっているともいえます。場合によっては、「市民」と「住民」の権利が対立することも出てくるでしょう(すでに出てきています)。この場合、「市民」と「住民」の権利が対立し、「住民」の権利が「市民」によって侵害されることになってしまうかもしれません。そうなっては、「地方自治の本旨」に反することになります。


議会基本条例に対する影響。

 現在、大和市議会は議会基本条例の制定を目指しています。「二元代表制」の一翼を担う大和市議会となるために、「市民の代表」としての議会機能の充実、強化が求められます。予定では、今定例会(6月)で成立を目指していましたが、議会基本条例検討協議会の会議の中で、議会が代表する「市民」の定義について、再び大議論となりました。

 大和市自治基本条例第2条には「この条例(自治基本条例)は、市が定める最髙規範であり、市は他の条例等の制定及び改廃に当たっては、この条例の内容を尊重し、この条例に適合させなければならない」と規定されています。つまり、議会基本条例の中で、なにげなく「市民の代表」ということばを使ってもその「市民」は自治基本条例に規定される「あの広範囲」な「市民」になってしまうのです。先に言及したように「住民」である「市民」と「住民外」の「市民」の権利が相対立することが想定される中で議会は自治基本条例の「広範囲」な「市民」の代表であると簡単に言い切ってしまえるか大変疑問です。


再検討の必要。

 議会基本条例が制定されて8年。当時とは社会情勢も変わりました。当時とは市長も変わり、議会の議員もかなり変わっています。制定当時はあまり考えていなかっなかった事態も発生してきています。そろそろ、自治基本条例を再検討するべき時期になったと思っています。自治基本条例に対するご意見がありましたら是非下記までお知らせ下さい。よろしくお願いします。

※中村一夫のメールアドレス  Kazu-@cj9.so-net.ne.jp