(1)「与党」と「野党」
議会に関して良く使われる言葉で「与党」と「野党」という言葉があります。しかし、地方議会の場合、国会と違い「与党」、「野党」というものは基本無いと思っています。というのも、国会は議院内閣制ですから、国会の信任を受けた者が総理大臣となり内閣(政府)を組織します。
したがって、総理大臣を信任した政党(与党)とそうでない政党(野党)が存在します。一方、地方議会は行政の長である首長と議会を構成する議員を共に有権者が直接選挙するため、首長の地位は議会の信任に由来しません。そういう意味でいわゆる「与党」、「野党」というのは地方議会には存在しないというのが原則だと思います。
もっといえば、議会は首長に対してある意味「批判的」に対峙し、首長の行政執行を「監視(チェック)」しなければなりませんから、原則皆「野党」といってもいいのかもしれません。
しかしながら、実際の地方議会には「与党」「野党」が存在してきました。この「与党」という考え方は「改革」しなければならないことの一つだと思います。といっても、議会と首長がいつでも対決し、対立していなければならないと言っているわけではありません。
議会も首長も共通の市民に選挙され、共通の市民のための政治を行うわけですから、基本的には両者の考えにそれ程の違いは無いはずです。だから、先に書いたとおり「批判的に対峙し」、「監視」すると言っても「結果的」には首長の政策と議会の多数の政策が大筋一致するということは当然予想されることです。
したがって、「結果的」に与党「的」な議員(党)と野党「的」な議員(党)が存在することはあり得ることです。しかし、私が問題視しているのはいわゆる「与党体質」です。つまり、最初から「与党」となってしまうことです。首長の政策には全面的に賛成し、その「見返り」として自身の政策の実現を図る(これがいわゆる「お小遣い」と揶揄されるものです)ことです。
こうなってしまうと、議員は首長に擦り寄り、自身の支持者のためにしか政治をしなくなってしまいます。そして、争って「首長派」になろうとすれば議会のチェック機能も正常に働かなくなってしまいます。このようにして、議会が本来の役目を果たさずに自身の支持者のために働く「御用聞き」の集団になってしまってきたことが、市民の議会への無関心を助長してしまったのではないかと思っています。
(2)二元代表制の一翼として。
議会が市民の期待する機関となるために、また、失った信頼を取り戻すためには、議会本来の役割を十分に果たさなければなりません。地方自治体は「二元代表制」を採用しており、執行権と議決権を首長と議会がそれぞれ分担します。議会には執行権がありません。
だから、執行権のある首長に擦り寄り、「与党」となって自分の頼みだけを他の議員に優先して「執行」してもらうというのでは、「二元代表制」の一翼を担う機関とは到底いえないでしょう。しかし、そのような議会と首長の関係が長く続いてきたことも、地方自治の歴史の悪い点であったと思います。
今こそ、この「悪習」を「改革」しなければなりません。そのために議会ができる一つの方法は「議員立法」による「政策条例」をもっと積極的に作ることです。たしかに議会には執行権はありません。しかし、もっと強力な「立法権」的権能があります。首長は法律や条例の規定に従って行政を執行します。
法律は国会で定めますが、条例はまさに当該自治体議会が作るのです。ですから、もっと議会が政策条例を自主的かつ積極的に作っていけば、市民の声を広く吸収した政策を、まさに「議会発」で行うことができるのです。この「立法権」的機能こそ、議会の持つ最大の権能だと思っています。
「二元代表制」による政治とは議会が「決めた」ことを首長が「執行」し、その「執行」の方法が「市民のため」になっているか否かを議会が「チェック」するということだと思います。これをきちんとやることこそが「議会改革」です。
そのためにもまずは議会の「立法機能」を強化できるように、私自身(議員自身)も「立法能力」を更に高めるべく頑張ってまいります。私の「立法機関」的「議会改革」はまだ始まったばかりですが、着実に前に進んでいます。今後とも皆様のご意見・ご提案を宜しくお願いします。
※本「論考」における議会の問題点は一般的なものであり、特定の「議会」のことではありません。