No.58 超高齢社会を迎えて

 大和市は、ついに「超高齢社会」になりました。この現実に直面し、これからの大和市はどのような政策を立て、施策を推進していくべきでしょうか。

 超高齢社会を迎えて、高齢者のことを念頭においた政策を実施するのは、ある意味「あたり前」のことです。高齢者に健康で長生きできる、高齢者に優しい街にしていかなければなりません。しかし、それだけで十分でしょうか。

 高齢者に優しい各種の施策を実施し、今後も実施し続けていくためには、高福祉を賄うことができる財政が担保されていなければなりません。最近、市はしきりに借金が減り、筋肉質の財政になったと言います。

 しかし、市として計画的に歳入(市の収入)を上げる施策を実施したために、市の歳入が増えたわけではありません。市の歳入が増えているのは、国全体の経済状態が良い方向になってきたことや、大和市の立地が良いことなどから、人口が増加しているといった「自然」にまかせてきた「結果的」なものです。

 したがって、今後も市の歳入が増えていくとは限らず、むしろ、将来的には市の歳入は減少すると見込まれています。このように市の歳入が減少することを見込んでおきながら、その一方で「お金のかかる」施策を「お金のあるうちだけ」実施するというのは、決して責任ある行政運営とはいえません。


経済政策は、もっとも重要な「福祉政策」です。

 今に始まったわけではありませんが、大和市は経済政策が大変弱いです。私は議席をお預かりして以来、この分野に積極的に取組んでまいりました。地域経済の活性化は、今の大和市の最大の課題であると思います。大和市の自主財源の内、市税には、個人市民税と法人市民税があります。

 市内に会社などの法人が多く事業を営んでいただければ、法人市民税は増加します。そのためには、まず(1)既存の会社が引き続き市内で営業できるようにすること。(2)市内で営業してくださる会社を誘致したり、起業を促進すること。が考えられます。

 既存の会社に引き続き市内で営業してもらうためには、企業にとって、魅力的な政策を実施することが重要です。また、企業誘致というとすぐに大工場ということを想定し(私の一般質問に対する答弁にもそのようなものがありました)、大和市は土地が狭いからできないということになります。

 しかし、企業誘致も起業促進も決して「大規模」なものばかりではありません。大和市は、たしかに土地も狭いし、多くが住宅地であるということを考えれば、騒音や臭いの強い工場はなかなか誘致が難しいかもしれません。そこで、私が着目しているのがIT産業です。比較的狭いスペースでも事業が行え、騒音や臭いの問題もあまり発生しません。世界でも活躍出来るIT産業を積極的に誘致したり、起業促進•起業家の育成をすることもできるでしょう。

 このようにして、既存の企業や新規の企業が市内に多くなれば、雇用の維持拡大にもなります。市内で働ける、だから市内で暮らすということになれば、そのような方は個人としての市税もご負担いただけるので、また、市の歳入増につながります。

 高齢社会は、行政としても「お金がかかります」だからこそ、お金が入ってくるような施策を行わなければなりません。そういう意味で「経済政策は、もっとも重要な福祉政策」なのです。しかし、なかなか市はそういう観点で経済政策を重視していません。私は今後とも経済政策を率先して提言し、実現してまいります。


未来の世代への政策も更に重要です。

 大和市の明日を担う未来の世代の育成も重要です。なかでも、学校教育。私は、議席をお預かりして以来、経済と教育に関わる政策を特に重視してまいりました。教育については、小中一貫教育の実現について、道徳教育について、学力の向上などにつき、一般質問でも取り上げ、教育委員会の考えを質しました。

 大和市は、電子黒板を導入したり、ノートパソコンやタブレット端末など、積極的にICT機器の活用に努めてきました。しかし、もっと根本的に「教育」を改革する必要があります。ノーベル賞を受賞した根岸博士は大和市の公立小中学校を卒業し、世界の学者になりました。

 これからも、大和市の小中学校から世界で活躍する人材を輩出できるような教育を実施していくべきです。このように、市内の公立小中学校の評判か高くなれば、そういう理由で大和市に転居してくる若い子育て世代が増えるでしょう。そうなれば、地域も若返り、活性化しますし、人口増加は個人市民税の増になり、増えた歳入は高齢者への福祉施策の財源になります。


広い視点で超高齢者社会に対応する。

 超高齢者社会を迎えて、高齢者のためだけの施策にとらわれていては、やがて、高齢者の施策さえ、実施できなくなってしまいます。超高齢社会を迎えた今、広い視点で超高齢社会に対応していかなければなりません。今後とも議会の場で、市政を推進し、監視してまいります。