No.75 地域経済活性化が必要な理由

 大和市は「健康創造都市」を掲げて、現在様々な政策を行っています。もとより、市民の「健康」は大変重要なテーマであり、そのことに主眼をおいて行政サービスを展開していくことは、基礎自治体としていわば当然のことといえます。

 しかし、「健康」や「福祉」に関しての行政サービスには「お金」がかかります。充実したサービスの提供を今後とも行い続けるためには、そのための財源をとのように確保し続けていくかということが避けて通れない課題なのです。

○大和市には「経済政策」がない?

 自主財源の確保と地域経済活性化は切っても切れない関係なのですが、私が議席をお預かりして感じたことは、大和市には実際的な「経済政策」が無いということなのです。つまり、経済政策を自主財源の確保・拡大につなげていこうという積極的な政策が見あたりません。

 たしかに、大和市の経済状態も自主財源の比率も現在それほど悪いわけではありません。しかし、それは主に大和市の人口がいまだに「微増」していることや、国の景気が回復してきていることなどによるものであって、大和市が何か積極的な経済政策を打った結果ではないのです。つまり、「今はたまたま」良いのであって、将来的には段々悪くなるであろうと予想されています。

 将来、「悪くなる」と予想しているのに、そのまま「手をこまねいて」いるわけにはいきません。もちろん、「経済政策」は国によるものが大きいとはいえ、地方自治体も「出来る事」を積極的に行っていかなければならないと思っています。そうでなければ、「地方分権」の意味がありません。

○まずは商業振興から

 私は、地域経済活性化のために、まずは地域商業振興から取りかかるべきだと主張してきました。なぜなら、「商業」は市民生活に直結しているからです。大和市には、23万人を超える方々が住んでおられます。また、仕事や学校などで「本市で生活」している方々をあわせれば、その数はもっと多くなります。そのような方々が毎日大和で「消費」活動をしているわけですから、本来、大和市の消費需要は大きいはずなのです。それを、地域経済活性化の「核」にしない手はありません。

 ちなみに、この条例が対象としている「商業者」とは、単に、商店街の「小売物販店」だけではありません。「大和市商業振興条例 逐条解説」によれば、第2条の「商業者等」とは「小売業(物販)、飲食業、理美容業、金融業、法律事務所や隣接法律専門職の事務所、不動産業等の広く「商店会」を構成している業種をいいます。また、商業を営む者だけでなく、大規模小売店舗を設置するものも含みます」。

 つまり、商業振興条例の対象は建設や製造業以外のほとんど全ての業種であるということです。したがって、それらの「広い業種」に対する潜在的な需要は計り知れない程あるはずなのです。ところが、大和市はそういった「潜在需要」を積極的に活用するために、「計画的」に政策を進めようという考えすらありませんでした。私はそのことを「一般質問」等で質しましたが、「計画を作る考えはない」ということだったので、自分で条例(「商業振興条例」)を作り、その中で「計画策定」を市長の努力義務として規定しました。

 商業振興条例は(誤解されている方もいるようなのですが)、「商業振興」それ自体を目的としているわけではありません。商業振興条例の目的は「市民生活の向上と地域社会の持続的な発展」です。そのことに「寄与することを目的」としてこの条例はあります(条例1条)。したがって、条例を作っただけでは意味がありません。この条例を正しく執行して行くことが必要なのです。

 市行政は、「商業振興は主に商業者の努力による」という考えを今でもとり続けています。それは、基本的に「商業政策は商業者のための政策」であるという考えによるものです。商業振興条例は、商業政策を「市民のため、地域社会のため」と位置づけています。市行政は、この条例の趣旨を正しく理解し、執行していく必要があります。市にはこの条例を周知させることが求められています(条例9条)。

 しかし、その前にはまず市行政自身がこの条例の趣旨を正しく理解する必要があると感じています。この条例は議員提案です。行政のこれまでの考えとは違うところもあるでしょう。しかし、我が国は「法治国家」です。行政は「法律・条例」に基づいて執行されなければなりません。本市の「商業政策」に関する方向性はこの条例の制定によって大きく変わりました。そのことを認識して条例に沿った政策を進めていかなければなりません。

○今後の商業政策をどうするか?

 条例ができたことから、大和市はやっと「商業戦略計画」を作りました。内容的には不満足な部分もありますが、とにかく「計画」の策定をしたことは大きな進歩です。次は、この計画を実施するための「実行組織」を作り、具体的に進めていくことです。その点については次号で書きます。