No.228 子どもたちを守るために

日本国憲法第13条は「すべて国民は、個人として尊重される」と規定しています。この憲法の
規定を大和市の条例においても確認したのが、大和市自治基本条例第9条で、「市民は個人として尊重され、快適な環境において安全で安心な生活を営む権利を有する」としています。言うまでもなく、この「個人」には「子ども」たちが含まれています。前述の大和市自治基本条例は、「子ども」について、第11条にも規定しており、「市は子どもが健やかに育つ環境をつくる責務を有する」とあります。このように、憲法でも、市の最高法規と位置づけられている大和市自治基本条例でも、「子ども」は尊重され、「子ども」の「権利」が守られているのです。しかし、現実はどうでしょうか。子どもたちは「尊重」され、その「権利」は守られているでしょうか。おそらく、多くの子どもたちはそのように扱われていると思います。ただ中にはそうではない子どもたちがいます。「児童虐待」は、いまや全国的な問題になっているからです。厚生労働省が発表した統計によると、平成30年度に児童虐待によって73人の子どもたちが亡くなっています。心中による19人を除いた54人の死因となる虐待の類型は、育児放棄(ネグレクト)が25人、次に身体的虐待が23人となっています。これは単なる「数字」ではありません。この「数字」の向こうに多くの子どもたちの苦しみと悲しみがあるからです。子どもたちを守ることはすべての大人の責任であり、政治家の務めです。

〇地方自治体の責任

 平成28年の児童福祉法改正では、子ども家庭支援は市町村が中心に、虐待への法的対応は都道府県が行うといった考えになっています。したがって、地方自治体にあっては、市町村と都道府県が協力しながらそれぞれの役割を果たしていく必要があるのです。虐待を防止するためには、(1)一般子育て支援、(2)虐待のリスクの早期発見と支援、(3)虐待に至っている家族の早期発見と在宅支援、(4)危険がある場合の親子分離、(5)分離後の子どもの傷の癒しと保護者や家族への支援、(6)家庭復帰後の在宅支援、(7)虐待を受けた子どもの治療や自立支援と連鎖の防止に関する施策。これらが包括的になされる必要があります。そのためには、改正児童福祉法で定められている「子ども家庭総合支援拠点」が確実に整備されている必要があるのです。

〇大和市の「子ども家庭総合支援拠点」事業

 「子ども家庭支援総合支援拠点」とは、そういう「建物」があるわけではなく、市の「事業」としての「取り組み」のことです。言い換えれば「ハード」ではなく「ソフト」面での施策ということです。大和市においては、すくすく子育て課内の家庭こども相談係が子どもたちに関するさまざまな相談に対応しています。年末年始、祝日(振替休日含む)を除く、月曜日から金曜日の8時30分から17時15分まで受け付けています。お子さん本人やご家族だけでなく、どなたでもご利用いただけます。ご相談の内容については固く秘密を守りますので、安心してご相談下さい。すくすく子育て課は、保健福祉センターの2階にあります。電話番号は260-5618です。

〇議会の役割

子どもを守っていくためには、二元代表制の機関、議会の役割が大切です。つまり、執行機関(市役所)と議会の二元代表制の両輪がしっかり回っていることが重要です。議会が執行機関と協働・連動しつつ、適切なチェックをすることにより、地域の児童虐待を防止していくことができます。議会は、市の子育て施策を推進するために、必要な予算・事業を承認します。大和市でも近年子育て支援施策のために多くの事業を行ってきました。今年度も4月に「こどもの城」をオープンしました。この「こどもの城」でも、子育てに関するさまざまな相談を受け付けています。議会は予算や事業を承認するにあたって、しっかり審議し、また改善を求めるなどして、事業がより良いものとなるようにしています(「協働・連動」)。加えて、「一般質問」などで、子育て支援の政策・施策を提案して、実現できるよう尽力しています。議員は、市民の代表として、子どもたちの代弁者として、議会の中で行動します。是非、皆様の声をお聞かせ下さい。

〇6月定例会に向けて

6月1日から令和3年大和市議会第2回定例会が始まります。私は、今回子ども関係の「一般質問」を行う予定です。こういったことを是非質問して欲しいというものがありましたら、是非、ご意見をいただきたいと思います。これからも、お父さん、お母さん、子どもたち代弁者として活動してまいります。