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No.263 行政視察が再開しました

新型コロナウイルスウイルス感染症の拡大防止のため中止としていた行政視察を今年度から再開しました。同時に、他市からの行政視察の受入れも今年度から再開しています。行政視察は、先進地の施策を調査し、行政に提案していくもので、議員活動として大変重要な意味を持っています。私が所属している厚生常任委員会は、高齢者福祉、障害者福祉、児童福祉、子育て施策等を所管する委員会で、本年、10月12日から14日まで、三日間の日程で3市の施策を調査してまいりました。以下に報告いたします。

1.山形県東根市 「子育て支援施策」について

東根市では、総合保健福祉施設「さくらんぼタントクルセンター」と子どもの遊び場「ひがしねあそびあランド」を視察しました。「さくらんぼタントクルセンター」の代表的な施設である「けやきホール」は、東根市のシンボルである「大けやき」をイメージした屋内複合遊具で、大きな滑り台を始め、子どもたちの冒険心を刺激する大変魅力的な施設です。近くにある屋外の遊び場「あそびあランド」の遊具もそうですが、多くの子どもたちで賑わっています。両施設とも無料で、市外の人も利用できます。大和市にも子どもたちに人気の大きな遊具を備えた施設はありますが、大和市の施設との大きな違いの一つは、子どもたちの遊びに「禁止」を設けていないということでした。子どもたちの遊びには多少「危険」なこともあります。いわゆる「冒険」的な要素を伴う「遊び」になれば、とかくそういった傾向があります。大和市は、「安全」のためにと「冒険的」な要素を極力取り除くようにしています。東根市は「ごみと多少のけがはお持ち帰り下さい」というコンセプトで臨んでいるということでした。どっちらが正しいということではないと思いますが、「子どもの遊び場」を整備するに際しての行政の「考え方」を再考させられる内容でした。また、大和市は遊具の「対象年齢」にも厳しいですが、子どもの成長には個人差がありますから、画一的に「年齢」で利用の有無を判断して良いかどうかも疑問です。基本的には、親(保護者)が正しく判断して子どもを安全に遊ばせる、そのサポートをするのが行政の役割であると思います。私にも三歳の幼児がいるので、自分の子どもを遊ばせているときのことを想像しながら、東根市の事業を見せていただきました。行政が行うのはあくまでも「子育て支援」であり、「子育て」の責任は主に親にある。行政は支援はできても責任を負うことはできない。これが「子育て支援事業」の原則であり、これを逸脱してはいけないということだと思います。

2.山形県上山市 「ICTを活用した健康ポイン事業」について

大和市も「健康ポイント事業」を行っています。大和市の「健康ポイント事業」は、ポイントカードにスタンプを集めて、応募して抽選で景品が当るといった事業ですが、上山市の「健康ポイント事業」は似て非なる事業です。「健康ポイント事業」参加者に「活動量計」を貸与して、参加者は「活動量計」を携帯して、日々の活動を行います。市内各所に設置してある「読み取り専用端末」に自身の「活動量計」をかざすとデーターが行政と共有されます。データーは民間事業者で分析され、健康づくりのアドバイスがなされます。貯まったポイントは地域で使える商品券と交換できます。商品券は、地域で使えるものなので、地域経済の活性化にもつながります。このように、上山市の「健康ポイント事業」は、単にポイントを集める事業ではなく、「健康づくり」をサポートする事業です。また、大和市のように当る人と当らない人もでない、皆が貯まったポイントを利用できるという点でも優れていると思いました。ただ、ICTを活用する事業のため、導入時の初期費用がかかることと、情報を分析したりするための委託費用もかかります。それでも、事業の目的が健康な人を増やして、医療費を削減しようということですから、費用がかかったとしても意味のある事業であると思いました。少なくとも、大和市の「健康ポイント事業」よりはかなり進んだ事業であり参考になりました。

3.栃木県宇都宮市「産後うつ検査・産後ケア・産後サポート事業」について

少子化とその対策が叫ばれる中、多くの自治体が妊産婦に対するする施策を実施しています。大和市も産後ケアとして、訪問型のサービスを始めますが、宇都宮市は、訪問型のほかに通所型、宿泊型の産後ケア事業を実施しています。特に宿泊型は人気が高く、多くの方に利用されているということです。宿泊型は(市が助成しているとはいうものの)、費用もかかり、病院の協力も必要なことから、すぐに大和市で実施することは難しいかもしれませんが、さまざまな可能性を考えてみることができると思いました。また、「産後うつ」検査は、早期に対策が必要な方に必要なケアを行えるといったメリットがあります。大和市は、この分野でまだまだ遅れていると思いました。必要な施策の実施を行政に求めていきます。

〇行政視察から政策実現へ

これまでも行政視察をふまえて、政策提案や具体的な条例の制定につなげてきました。たとえば、平成24年に、私が大和で初めての「議員提出議案」の経済政策条例「大和市商業振興条例」を作ったときも、藤沢市、静岡市等を視察して、両市の類似の条例を参考にさせていただきました。また、大和市では議員提出の政策条例を作った事例がなかったため、その手法を鎌倉市、大津市などから学ばせていただきました。大和市が「議会基本条例」を制定した際も、最初に議会基本条例を作った北海道栗山町を視察して参考にしました。条例以外にも、シリウス図書館に関して、佐賀県武雄市図書館、長野県塩尻市図書館を視察して、図書館を中心とした「まちづくり」や、従来の「図書館」の規定概念を超えた新しい時代の「図書館」の在り方を提案しました。シリウスの芸術文化ホールも、当初は旧中央文化会館ホールの600名規模を行政は計画していましたが、市民の要望を受け、座席数を増やすことを検討していました。新潟県柏崎市のホールを視察し、二階席を作ることを提案し、結果として現在の1,000席を確保するホールとすることができました。このように行政視察は、さまざまな議員提案を通して政策に反映されています。もちろん、提案したすべてが即政策に反映されるとは限りませんが、引き続き根気強く取り組んでまいります。

No.262 やるべきことを着実に

一.道路について

市民からのご相談(苦情)として多いのが道路に関する問題です。道路はだれでも使うものです。だからこそ、子どもにも高齢者にも障害のある方にも安全に利用できるものでなければなりません。しかし、残念ながら大和市の道路は必ずしもそうなっていないというのが現状です。市民からのご要望として多いのが、道路の凸凹や破損、カーブミラーや信号機の設置、通学路の安全対策、歩道の安全確保、横断歩道などの路面表示が見えにくくなっていることなどです。中には県や国の事業となるものもありますが、道路の補修などの多くは市が実施できるものです。道路整備を実施する上で大きな問題となっているのが、「お金」つまり市の予算です。議会からも再三要望して改善されてきてはいますが、まだまだ十分とはいえません。立派な公園を整備するのも結構ですが、まずは「やるべきことを着実」に実施するために予算措置して欲しいというのが私の強い要望です。道路整備は「やるべきこと」のかなり上位に位置していると考えています。以前、視覚障害の方のために設置されている点字ブロックの補修に関しても一般質問で取り上げました。これからも、すべての方が安心して利用できる安心・安全な道路整備を求めていきます。本市では、自転車通行帯や通学路に青や緑の舗装をしていますが、雨天の時など滑りやすくて危ないという「声」をお聞きします。本来、安全のために実施しているカラー塗装が、かえって危険であるとすれば本末転倒です。早速、担当課に申し入れ、調査と対策をお願いしたところです。

二.公園について

道路に次いで市民相談が多いのは、「公園」に関するものです。大和市には「ゆとりの森」や「やまと公園」「泉の森」といった大規模な公園があります。狭い市域にさまざまなタイプの公園が点在していて、それぞれ多くの方々で賑わっています。しかし、市民の多くが日常的に利用しているのは、このような大規模な公園ではなく「街区公園」とよばれる「近所の」「小さい公園」です。こういった公園の管理・整備はしっかり行えているのでしょうか?毎年のように決まって言われるのが、草刈りや樹木の伐採に関することです。市民からの苦情が来てから草刈りをしてもらう。毎年こういった状況が続いています。行政に聞くと、「計画的にやっている」といいますが、毎年決まって苦情が来るようでは「計画的にやっている」とはいえないと思います。以前、東京の大田区の公園を視察しましたが、大田区では業者に委託して、事業者は定期的に公園を巡回して管理していました。また大田区では、ほとんどすべての公園にトイレがあり、委託された事業者が定期的に巡回し清掃しているので、大変きれいに管理されていました。市民の身近な居場所である「公園」をきれいに管理していくということは、行政が「やるべきこと」です。いくつかの大きな公園だけでなく、身近な小さな公園もしっかり管理されるよう「やるべきことを着実に」行うように引き続き行政に促していきます。

三.病児保育について

病児保育については、「大和主義!!」でも何度か書きました。共働きやひとり親家庭で、「子どもが急に体調を崩した、でも仕事はどうしても休めない」といったとき、「頼みの綱」となっているのが、「病児保育」です。大和市には3つの病児保育室がありますが、市が委託事業としているのは、市立病院の敷地内にある「ぽかぽか」だけです。定員は4名で、基本市内在住の方が利用できます(例外あり)。大和市には約24 万人の方々が暮らしています。たった4名の定員では到底需要を賄うことはできません。大和市の病児保育が市民のニーズになんとか対応出来ているのは、他の二つの民間の施設があるからです。市はこれらの二つの施設も含めて「市内3箇所」の病児保育室と言っています。市はこれら二つの民間施設を「補助事業」として位置づけ、補助金を交付していますが、各施設は毎年多額数の「赤字」を抱えながら施設を運営しているといいます。「病児保育」はそもそも「儲からない」事業です。「儲からない」事業でも「公共性」が高い事業だから、国は市町村といった基礎自治体がこの事業を行うことを定めています。市は「補助事業」として国の要綱に従って補助しているとくり返しますが、「子育て王国」を標榜するのであれば、民間に赤字経営を強いるのではなく、行政が責任を持って実施するべきだと思います。病児保育は、子どもたちのため、働くお父さん・お母さんのために行政が「やらなければならないこと」です。

〇災害に備える

毎年この季節には台風など風水害が起こっています。今年9月1日に発行された「大和市の災害史」
は大変貴重な資料です。纏めていただいた大和市文化スボーツ部文化振興課の皆様には、この場をお借りして感謝申し上げます。有史以前の噴火災害から、地震、風水害、新型コロナウイルス感染症までの自然災害と感染症の歴史を網羅しています。価格は2,700円(税込み)と結構いいお値段ですが、図書館にも置かれると思いますので、是非ご覧下さい。何時来るか知れない「災害」に日頃から備えておくことは大切です。私も10月15日(土)13時からイコーザ305号室において「感染症と自然災害に強い社会を作ろう!!」と題して勉強会を開催します。非常事態と憲法の問題にも踏み込みます。拓殖大学特任教授濱口和久先生による基調講演と、第二部では「緊急事態と日本国憲法」と題して、濱口先生と私の対談を行います。お誘いあわせの上、是非お越し下さい。

No.261 市議会議長就任4ヶ月で取り組んできたこと

 令和4年5月9日に第62代大和市議会議長に選任いただき、早いもので4ヶ月がたちました。議長就任後、これまでに取り組んできたいくつかのことをご報告します。

・市議会本会議の議員出席者をコロナ前に戻しました

新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する中、令和2年3月定例会より実施してきた本会議への議員の出席を半数に制限するという取組みを、令和4年6月定例会から元に戻し、全議員が出席することとしました。引き続き、検温、手指消毒、マスクの着用、演壇等の消毒、ドアの開放などの感染対策は実施しています。

・行政視察の再開

本市議会議員の他市への行政視察を再開し、他市からの行政視察も受け入れています。

・議長出席会議の情報を共有

議長は全国市議会議長会の会議などに出席していますが、議長が出席した会議の資料や議決された国への要望書などを議会図書室に配架し、希望する議員が閲覧できるようにしました。

・議員(議会)提案の条例策定を進めています

前副市長辞職等に関する調査特別委員会に対して、「(仮)大和市ハラスメント防止条例(案)」の策定をお願いし、現在12月定例会での成立を目指して策定作業を進めていただいています。
また、法律の改正に伴い、「大和市議会の個人情報の保護に関する条例」を同じく12月定例会での成立に向けて策定作業を進めています。これらの条例案については、現在「パブリックコメント」を実施しています。

・議会基本条例の検証を進めています

議会基本条例は、4年の議員任期中必ず検証することが条例で定められています。今年度、議会運営委員会で議会基本条例の検証を行っています。

・通年議会の実現を目指しています

現在、大和市議会は年4回の定例会を開催しています(3月、6月、9月、12月)。それぞれの定例会は、地方自治法の規定に基づき市長が招集します。つまり、市長の招集がなければ議会を開催することはできないのです。法律の改正により、議会は一年を通じて議会を開催することができるようになっています(通年議会)。これまで、大和市議会は「通年議会」について検討してきましたが、未だ結論が出ていません。私の議長任期中に、なんとか「通年議会」を実現化できるように頑張っています。

〇通年議会について

 大和市議会は、現在条例で4回定例会を開催することになっています。各定例会は、毎回市長
が招集し、30日程度の会期を定めて開催しています。数年前に法律が改正され、1年を一つの会期として議会を開催できる「通年議会」とすることができるようになりました。前述したように、大和市議会でも「通年議会」については議論されてきましたが、未だ結論が出ていません。もとより、議論を尽していくことは民主主義の「基本」であり、大切なことですが、スピード感をもって議論を尽していくことが大切です。私は、なかとか私の議長任期中に「通年議会」を実現したいと思い頑張っています。「通年議会」にすることのメリットとしては以下のようなものがあります。

1. 市長の「先決処分」を減らせる

市長は、本来は議会の議決が必要なものであっても、緊急性があり、議会を開催する時間的余裕の無い場合は、議会の議決を経ることなく条例を制定(改正)したり、予算を決めたりできることになっています。これは本来緊急的なもので、例外的なものであるはずであり、「先決処分」が多用されてしまうと、議会制民主主義が形骸化してしまいます。ちなみに、「先決処分」は次の議会で議会の承認を求めることになっていますが、仮に議会が承認しなかったとしても「先決処分」の効力は失われません。「通年議会」になるとどうなるかというと、一年を通じて議会を開いているわけですから、議会を開催する時間的余裕がないということはありえません。また、議会は「閉会」されていませんから、必要応じ、市長ではなく議長が会議を「再開」すれば良いだけです。市長の「先決処分」を減らし、議会が本来の役割を果たせるようにすることが「通年議会」最大の利点だと思います。

2.非常事態に議会が対応できる

コロナのような感染症や自然災害が発生した場合などで、議員が緊急に協議する必要が生じたとき、市長による議会の招集を要せず、議長が会議を再開することができます。これによって、より民意を汲み取った民主的な政策を実施することができます。

3.改選前の今だからこそ

来年は統一地方選挙が行われます。選挙前に「通年議会」が決まっていれば、来年の選挙に立候補する人は、「通年議会」を前提に立候補してくることになりますから、選挙後最初から「通年議会」として活動することができます。

 以上、「通年議会」のメリットとして主な3 点を挙げてきました。デメリットはというと、いくつかあるにはありますが、それらは主に議員サイド、行政サイドのもので、市民からすれば「通年議会」のデメリットはほとんど無いと思っています。今後、議会運営委員会の中で実現に向けての議論が進むことを期待しています。