[討議資料] 2月25日(火)から3月24日(月)まで、28日間の会期で開催された令和7年第1回定例会には、令和7年度大和市一般会計予算が上程されていました。この予算案には、我々自民党・新政クラブから「修正案」を提出しましたが、議会は、この「修正案」を否決し、予算原案も否決したため、令和7年第1回定例会においては新年度当初予算が成立しないという、大和市議会の歴史上おそらく初めての事態となりました。市長は、急遽3月28日(金)に臨時会を招集し、修正した令和7年度一般会計予算を提出し直し、同日、賛成多数で令和7年度一般会計予算は可決成立しました。市長が3月28日(金)の臨時会に提出した予算案は、3月25日(月)に自民党・新政クラブが提出した「修正案」に近い内容でした。そもそも、今回私たちは、なぜ当初予算案を「修正」したのでしょうか。以下にその理由と内容をご説明します。
〇予算案を「修正」した理由
今回、予算案を「修正」した最大の理由は、本市の深刻な財政難です。令和7年度の計算上の財源不足は、25.3億円です。市は財源の不足を、市の「貯金」ともいわれる「財政調整基金」を取り崩して補填してきましたが、その「財政調整基金」も令和5年度末には約60億円あったものが、令和6年度末には約40億円にまで減少しました。わずか、1年間で20億円もの「貯金」が無くなったのです。令和7年度も歳入(収入)が不足することから財政調整基金のさらなる取り崩しが見込まれており、令和7年度末には財政調整基金は、30億円(あるいはもっと)ぐらいまで減少するのではないかと危惧されています。そのような中、市は「令和7年度予算編成方針」というものを出しています。その中で「令和7年度の予算編成は、財源不足が依然厳しい状況にあることを踏まえ、新規事業や充実事業については、社会経済状況に照らし、真に必要な事業のみ、計上を認めることとする」と明記しています。この「方針」に照らして「予算案」を精査した結果、私たちは次の4つの事業を「修正」しました。
〇放課後児童のエンジョイスポーツ
この事業は、「放課後児童クラブ事業」の中で提案された事業ですが、事実上の「新規」事業だと認識しています。そもそも、放課後児童クラブは、共働き等の理由で日中不在にされている保護者のために、放課後も児童を「クラブ」でお預かりする事業で、要件に「合致」した児童を対象にしています(会員保護者は育成料を市に納めます)。ところが、今回、提案された「エンジョイスポーツ」事業は、クラブの児童だけでなく、全校児童を広く対象としています。にもかかわらず、事業としては、放課後児童クラブの「枠」の中で実施するというのです。放課後児童クラブの支援員さんたちは、今でさえ業務が多く大変です。急にこのような「新規」の事業を振られて本当に行えるのでしょうか。普通、このよう新規事業を実施する場合、何校か「パイロット校」を選んで実施し、課題を整理した上で全校実施するのですが、どういうわけか、今回は全校一斉に実施するというのです。詳細な事業内容がまだ決まっていないにも関わらず、予算(約500万円)だけが決まっています。これは、今後毎年かかる費用です。そして、その予算のほとんどは、「スポーツを教えてくれる」方への謝礼だというのです。スポーツの内容も「専門的」なものではなく、いろんなスポーツを体験するといった程度のようで、いわゆる「スポーツクラブ」のような専門的な指導ではないようです。1年生から6年生まで体格も大きく違う子どもたちを、クラブの子どももそうでない子どもも一緒に安全に指導することは本当に可能なのでしょうか。何の「検証」もしないまま、「見切り発車」することは大変危険だと思っています。しかも、そもそも本事業は放課児童クラブの事業ではありません。放課後児童クラブにはそれでなくても課題が多くあります。手狭な施設、子どもたちが遊ぶおもちゃや読む本の不足、折り紙でさえ、一人一日2枚とか3枚とか制限されているというクラブもあるそうです。このように、非常に厳しい運営がなされている中で、本当にクラブの子どもたちはエンジョイスポーツを望んでいるのでしょうか。新しい事業を始めて、謝礼として500万円も支払う財政的「余裕」があるのであれば、せめて折り紙ぐらい自由に使えるようにしてあげた方が子どもたちは喜ぶのではないでしょうか。私たちは、本事業が、「放課後児童クラブ事業」ではないこと、事業の詳細がしっかり検討されていないこと、何よりも、「令和7年度予算編成方針」にあるとおり、今どうしても「真に必要な事業」とは思えないことから、本事業の再検討を求めました。しかし、市長は「どうしても」本事業をやりたいという強い思いを示されましたから、ではまず、いくつかのパイロット校で実施して検証すること、そして、今後は、「放課後児童クラブ事業」とは別の事業として検討することなどを求めて予算を「修正」しました。
〇うまいもの市開催事業
うまいもの市は、一日の開催で来場者は約1万6千人、予算は約900万円でした。来年度は少し減額して約700万円になりましたが、それにしても、たった一日のイベントに700万円とは、財政難の本市にとって、本当に「真に必要な事業」といえるのでしょうか。ちなみに、「大和阿波踊り」は、2日間開催で、約21万人の来場者といわれていますが、市からの補助金は200万円です。昨年から始まった高座渋谷のイベント「渋祭」は1日開催で、来場者約1万2千人。市からの補助は136万円です。中央林間手作りマルシェは、約4万人の来場者ですが、市からの補助はゼロです。いかに、うまいもの市に破格の予算がつぎ込まれているかお分かりになると思います。私たちは、大幅に予算を削減する「修正案」を提出しました。
〇海外青少年交流事業業
この事業も事実上の新規事業で、「海外友好都市等交流事業」の「枠」の中で提案されています。本来、この事業は海外友好都市である韓国・光明市との交流事業などを想定しているものです。今回は、それに加えて、厚木基地内プールで、アメリカ人の子どもと本市の子ども(それぞれ約10人)を対象に「サップ」というスポーツを行うというものです。基地の子どもと本市の子どもが交流することは良いことだと思いますが、なぜ、「サップ」なのでしょうか。市長は、「現地・現場主義」と言いますが、一体だれが、どれだけの人が「サップ」をやりたいと言っているのでしょうか。本当にやりたがっているのは誰なのでしょうか。予算は30万円ぐらいとそれほど大きな額ではありませんが、この程度の規模の事業としてはかなりの金額とも思えます。そもそも、財政難の今「真に必要な事業」なのでしょうか。私たちは、「修正案」でこの事業を削除しました。24日の本会議で私たちの「修正案」は否決されましたが、28日の臨時会では、この事業を削除した市からの修正案が可決されました。
〇歌謡イベント
これは、いわゆる「カラオケ大会」をやるという事業ですが、「観光等促進等事業」の「枠」で実施するものです。この事業は古谷田市長になって廃止されましたが、一年後に「復活」しようと上がってきました。まず、「カラオケ大会」は「観光等促進事業」なのでしょうか。また、一回やめたものをなぜすぐに「復活」させるのでしょうか。しっかり検討した上で廃止したのではなかったのでしょうか。「朝令暮改」は行政の信用を失墜させます。1年前と比べて、本市の財政は決して好転していません。本事業は「真に必要な事業」なのでしょうか。そもそも、財政難の本市で税金を使って「カラオケ大会」をやるべきなのでしょうか。この事業を楽しみにされていた方には大変申し訳ありませんが、本市の厳しい財政状況に鑑みて、本事業を削除するよう「修正」しました。24日の本会議では、私たちの「修正案」は否決されましたが、28日の臨時会では本事業を削除した市からの修正予算案が可決されました。
〇予算についての私の考え
予算を提案するのは市長の権限ですが、それを決めるのは議会の権限です。予算を決める機関と執行する機関が同一であれば、それは「独裁政治」となるおそれがあります。地方政治は予算を執行する機関(市長)と決める機関(議会)を分けることで、「独裁政治」をけん制しています。「最大会派の自民党・新政クラブが予算を否決するなどとんでもない」と仰る方もおられますが、最大会派だからこそ、市政に責任を果たしていかなければならないと思います。紙面の都合で十分に説明できなかったこともあるかと思いますが、ご不明なことがあれば、また個別にご説明させていただきたいと思います。本市の財政難はしばらく続くと思います。優先順位を見極めて、何が市民にとって「真に必要な事業」なのか判断していかなければなりません。まずは、しっかりと財政再建を行い。持続可能な社会を維持していくために引き続き尽力してまいります。
〇市政に関してお気づきのことお困りのことがあったらご連絡ください。
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