No.210 新型コロナウィルスと個人情報の関係

新型コロナウィルス感染症は未だ収束をみていない。緊急事態宣言が解除され、人々の日常生活が徐々に活発化してきて、それに伴い感染者数もまた徐々に増加してきている。大和市の感染者数は、7月29日の17時現在67名になっている。テレビをつければ、毎日の感染者数を繰り返し、不安を煽るような内容の報道が続いている。しかし、私たちが自分自身を守るために必要な「情報」はあまり提供されていない。その多くは、「個人情報保護」という名目で知らされていないのだ。しかし、それは本当に「保護」するべき「個人情報」なのだろうか。

 まず感染者数である。前述したように大和市の感染者数は現在67人である。この数字だけみれば、「現在」市内に67人の感染者がいるようである。しかし、当然ながら現在市内に67人の感染者がいるわけではない。この数字は「累計」の数だからである。「67人」の中には、すでに治って通常の生活に戻っている方も多くいる。しかし、その数は知らされていない。また、現在何人の方が入院しているかも、重症者が何人かもわからない。わかっているのは、現在までに市内の方「67人」が感染したということだけである。ちなみに、陽性の方で市内で働いている方でも、市外に住んでいる方はこの数に含まれていない。「67人」は市内居住者の感染者数だからである。つまり、この「67人」という数字は、なんら現在の市内の感染状況を正確に表したものではないのである。にも関わらず、この「数」だけが報道される。「累計数」だから、減少することは決してない。「累計数」として増え続けるのである。そして、増え続けるその「数」だけが一人歩きして、人々の不安を煽っていくのである。いかにもおかしな「情報公開」のあり方ではないだろうか。

 私たちが知りたいのは「累計数」ではない。「今」何人の方が実際に感染していて、治療をしているか、その内何人の方が重症かということである。さらに、感染した場所、住んでいる地域、年齢といった情報も「自らを守る」ための情報として必要だと思う。ただ数だけが知らされて、その他の情報は隠されている中、目に見えない「コロナウィルス」と闘い続けていくことは、精神的にも大変な苦痛である。そういう中で、SNSなどでいわゆる「犯人探し」が起こっている。情報公開のあり方と個人情報保護のあり方を根本から見直す必要がある。公益のために公開するべき情報は適切に公表する。個人情報保護と人権擁護のために、守るべき情報はしっかりと守る。そのための明確な基準がなければならない。なんでも「個人情報」だと言えば済むと思っていたら大間違いである。9月定例会では、大和市の個人情報管理と公開の基準について質していきたい。

〇新型コロナウィルスと避難生活施設運営

 各地で自然災害が頻発している。特にここ数年は、河川の氾濫や土砂災害が深刻な問題になっている。大和市にも境川、引地川といった二つの河川があり、市内41箇所が土砂災害警戒区域に指定されている。自然災害が発生した場合、危険地域に住む方々は避難生活施設で避難生活を送ることが想定されている。そして、当該施設を運営するために、自主防災組織等の代表者、施設管理者、市の職員からなる「避難生活施設運営委員会」が組織されているのである。今、最も心配なことは、新型コロナウィルス感染症が未だ収束しない中で避難所生活をするようになった場合、感染症に対処しながらどのように避難生活施設を運営していくかである。今、避難所生活が余儀なくされるような災害が発生した場合、果たして対応できるのか。担当部署に質したところ、ようやくマニュアルの改定が終わって、地域の避難生活施設運営委員会に説明を始めたとのことである。地域の避難生活施設運営委員会のメンバーの多くは、自主防災会(自治会)の役員の方であり、ご高齢の方も多い。また、自治会役員など地元での役割も多い方々である。地域に依存するのではなく、行政がより積極的に感染症下での避難生活施設運営に関わっていくことが求められている。

〇スピード感を持って!!

 とにかく、新型コロナウィルスの対応には「スピード感」を持って臨むことが重要である。議会は、行政機関が新型コロナウィルス対応に専念できるように、「一般質問」をはじめ議会審議の時間短縮などで最大限の協力をしてきた。新型コロナウィルスの対応は「スピード」が「命」といった面もある。いくら素晴らしい計画であっても。時間がかかっていては、何の意味もなくなってしまうことがある。そのことを、市行政は肝に命ずるべきである。前述した、避難所運営については、まさにその典型的な事例である。災害はいつ来てもおかしくない。だからこそ、いつでも対応できる状態にしておかなければならないのである。新型コロナウィルスの問題が深刻化してからすでに半年が経過している。行政の対応はなんとも遅い。引き続き、議会としても「スピード感」をもって対応するように、行政側に強く求めていく。