No.305 防災DXについて

いつ来てもおかしくないと言われて久しい「大規模地震」。ただ、「いつ来ても」と言われていても、現実に「今日」来ると思って生活している人はそれほど多くないのではないかと思います。そのような中、8月8日に突如発表された「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」は、ある意味「晴天の霹靂」だったのではないでしょうか。今回の発表を過度に恐れてパニックにならないようにお願いしたいのですが、適切な注意は当然必要です。改めて地震の多い国に生活していることを自覚して、日ごろの備えをしていく必要があると思います。個人として、災害への備えをすることは必要ですが、自治体としても当然市民の生命財産を守るための備えをすることが大切です。今回は、「防災DX」について書いてみたいと思います。

一般的に「DX」には3つの段階があるといわれています。一段階目は「デジタイゼーション」、「物事をデジタル化すること」、二段階目は「デジタライゼーション」、「個別業務をデジタル化すること」、そして、三段階目が「DXデジタルトランスフォーメーション」、「関連業務全体や組織全体をデジタル技術で変革したり、新たな価値を生み出したりすること」です。「防災DX」に関しても同様の三段階があります。まず、第一段階目の「デジタイゼーション」としては、避難所でこれまで紙に書いていたような情報をデジタル化して管理することなどがあります。次に第二段階の、「デジタライゼーション」としては、これまで市役所の職員等が被災者から聞き出して集約していたものを、被災者個人がスマホなどから直接登録するようにするようにして「個別業務をデジタル化」することなどがあります。最近では、罹災証明書発行業務などでも、「デジタライゼーション化」が進んでいます。そして、三段階目でいよいよ「個別に行われてきた業務をデジタル技術で結び付け、全体として業務を変革する」という「DX化」が実現します。

「防災DX」を実現した事例として、令和元年の台風19号で被災した長野県長野市における「One Nagano」活動があります。これは、市民・ボランティア・行政・自衛隊などが連携して、一体的に災害廃棄物処理にあたった「プロジェクト」です。デジタル上の地図に様々な情報を落とし込み、日々変化する状況に対応して、全体として統一された「共同認識」のもと連携して一つの大きな活動を成し遂げたという実例です。

そこで、本市の「防災DX」についですが、市からの情報発信に関しては、デジタル化が進んできていると思いますが、まだ、市民からの情報をデジタル化して管理するというところまでは進んでいないように思われます。罹災証明書の発行についは電子申請が可能になっているということですが、個別の課題について直接被災者から情報を発信できるようにはなっていないようです。ただ、避難所での情報は担当者からデジタルで発信できるようにはなっているようです。また、神奈川県が広域で防災連携していこうという取り組みも始まっており、本市としてもその取り組みに参加しているということですので注視してまいります。もちろん、ただ新しい技術を導入すれば良いというわけではありません。あくまでも「DX」は「手段」であり、「目的」ではありません。「導入するべき技術が先なのではなく、変革すべき業務が先」であるということを忘れてはならないと思います。引き続き、市民のために必要な「防災DX」の充実を推進してまいります。

〇9月定例会が始まります

 9月定例会が8月29日(木)から9月26日(木)まで29日間の会期で予定されています。会議の予定は次のとおりです。すべての会議は傍聴できます。また、本会議は市議会HPからliveと録画で動画配信します。9月定例会は決算を審査します。

8/29本会議、9/2環境建設常任委員会、9/3文教市民経済常任委員会、9/4厚生常任委員会、9/5総務常任委員会、9/6基地政策特別委員会、9/17議会運営委員会、9/18から9/20本会議(一般質問)、9/24議会運営委員会、9/26本会議(予定は変更する場合があります)。

会議は9時からです、皆様の傍聴をお待ちしています。