10月9日(水)から10月10日(木)の二日間、岩手県盛岡市で開催された、全国市議会議長会主催の研究フォーラムに出席してきました。今回の研究フォーラムは、「主権者教育の新たな展開」いうテーマで行われました。
初日は、研究者、マスコミ関係者、主権者教育をサポートしている一般社団法人の代表者とともに、開催市盛岡市の市議会議長がパネラーとして登壇し、パネルディスカッションが行われました。「主権者教育」は決して学校教育だけで行わるものではありませんが、多くの場合、学校での「政治教育」との関係で議論されてきました。学校で「政治教育」を行う法的根拠は、教育基本法第8条に規定されています。法律的にも学校での政治教育は「尊重しなければならない」ことになっているのですが、同時に「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治活動をしてはならない」(教育基本法第8条第2項)とも規定されていて、政治教育には「政治的中立性」が求められています。「政治教育」の尊重と中立性はともに重要なのですが、とかく、「中立性」が強調されるあまり、長きにわたって学校での「政治教育」は敬遠されがちでした。しかし、民主主義社会を維持し、発展させていくためには、次世代を担う主権者を育てていくための「政治教育」は極めて重要であると認識されるに至り、遅まきながら、昨今「主権者教育」という名称で「政治教育」がすすめられるようになりました。しかし、多くの場合、学校で行われる「主権者教育」は「模擬投票」のような疑似体験や、良くて意見交換といったものに終始しているきらいがあり、今回のパネルディスカッションでも大方そういった「手法」や「方法論」について取り上げられていました。私は、「主権者教育」とは「民主主義の教育」そのものであると考えています。したがって、まずは、「民主主義」とは何たるか、「住民自治」とは何たるかをしっかりと教える必要があると思っています。当然、その過程では、いかにして我々が「民主主義」を勝ち取ってきたかを理解する必要があります。ここが肝心で、「民主主義」がいかに大切かという理解のないままに、いくら民主主義への参加の「方法」を教えても意味がないと思います。今回の研究フォーラムではその辺りの議論が深まらなかったことを残念に感じました。
大和市での「主権者教育」については、以前に一般質問でも取り上げました。
本市域は、明治の自由民権運動が熱心であったという歴史もあり、近代民主主義の歴史について学べる素材があると考えています。お隣の町田市には、「市立」の「自由民権資料館」があります。本市でもそのような施設を設置して、近代民主主義を学べる環境を整備できると思います。また、本市には自治基本条例があり、16歳以上に住民投票権を付与しています。ということは、16歳までに住民投票を行えるような政治教育を行うことが求められているということです。自治基本条例制定から20年がたっているにも関わらず、こういった観点での政治教育を怠ってきました。早急な対策が必要であると思います。
「主権者教育」は本来的な議会の仕事ではないかもしれませんが、生きた「民主主義」を子どもたちに直に見てもらうことは、重要なことだと思います。これからも議会での真摯な議会活動を通じて、それが次の世代への「主権者教育」にもつながればと思っています。