No.113 議会改革私案 その2。

「大和主義! !」5月1日号(No.111)において、「議会改革私案」を述べさせていただきましたが、今回はもう少し具体的な内容に言及したいと思います。

(1)「一問一答式」の「一般質問」と市長による「反問権」。
 議会の質疑を活性化させるために、全国的に導入が始まっているのが、「一問一答式」の「一般質問」です。従来、地方議会の「一般質問」は国会における代表質問のように「一括」で質問がなされ、「一括」で答弁がされてきました。しかし、このような「一括」での質問・答弁だと「論点」が分かりにくく、いわゆる「丁々発止」の議論が行われないため「形式的」なものになりがちです。このような問題を解決する一つの手だてとして現在あちこちの議会で試みられているのが、「一問一答式」の導入です。近隣市議会では、綾瀬市議会、海老名市議会、藤沢市議会、相模原市議会などが実施しています。一つの質問に対して、その都度答弁があり、場合によっては、その答弁にその場で再質問していくわけですから、傍聴者にとっても大変わかりやすく、議論も活気のあるものになります。その反面、その場での「場当たり的」な答弁になってしまうおそれもあり、熟慮された責任ある答弁が得られにくいという課題もあります。大和市議会では、完全な「一括」質問ではなく、「分割」質問と答弁が行われています。しかし、「一問一答」での質疑は行われていないのが現状です。これまでも、「一問一答」については議論されてきましたが、合意に達することなく、引き続きの課題になっています。私も「一問一答」式についてはさまざまな課題があるとは思いますが、実際に導入している議会審議を視察させていただいた結果、やはり大変わかりやすいので、大和市議会でも導入すべきだと考えています。「一問一答」について議論されると、きまって「セット」で出でくる論点が市長による「反問権」を認めるかどうかです。市長による「反問権」は、市長(または行政側答弁者)が議員の質問に対して「反問」する「権利」ですが、「基本」認めていません。普通に考えると、質問に対して反問がなされて、その反問に対して質問した議員が答弁し、それに対して市長がさらに応じていくような形で議論が行われれば、より「活気」のある議論が期待できると思われます。しかし、議員は「市民」の側に立って行政執行を「質して」いくのがそもそもの役割りであり、行政側がきちんとした「答弁」をしないで、「答弁」の代わりに「反問」を繰り返すことになれば、本来の議員(議会)の行政執行に対する「チェック機能」が損なわれてしまうという懸念もあり、単純に「反問権」を認めていいかどうかはさらに議論される問題です。また、市長は2 千人近いスタッフ(市職員)を抱えているのに対して、議員には政策スタッフはほとんどいません。このような状況で「反問権」を市長に与えることがフェアな議論になるかどうかも疑問です。したがって、市長と議員が互いに質問して「丁々発止」の議論をするためには議員(議会)側の政策スタッフを充実させるということも課題になってきます。いずれにしても、議会を活性化するためには、今よりもっと「本質的」な議論が議会で行われることが必須であり、そのための議会改革は重要なことです。議会の議論がより活気のあるものになるような議会改革をさらに推進してまいります。
(2)議員間討議。
 「一問一答」ともに議会改革で取り組んでいる重要な課題として「議員間討議」の推進があります。現在の議会審議は、本会議でも委員会でも議員が執行部に対して質疑をして、質疑終了後、「賛成討論」「反対討論」を繰り返し採決するという形で行われています。この「討論」ですが、一般的に連想する「討論」とはかなり異なり、「賛成意見」「反対意見」という方がわかりやすい実態です。そこでは、賛成派と反対派がでディスカッションするわけではなく、それぞれが「意見」を述べ合うだけです。このような「討論」では、議論がかみ合うこともなく、傍聴に来られた方はきっと「拍子抜け」してしまうと思います。そこで、最近、導入が試みられているのが「議員間討議」の推進で。執行部に対する「質疑」だけでなく、議員同士が自由にディスカッションするものです。「議員間討議」は論点が一層明確になり、傍聴に来られた方にとっても大変わかりやすく興味深い形での審議になると思います。近隣市議会では藤沢市議会などが導入しています。主に、市民の方からの請願書や陳情書の審議の際に行われています。大和市議会では議会改革実行委員会で導入が検討されましたが、「全会一致」とならず今回は見送られました。もちろん、今でも議員間討議は禁じられているわけではありません。だから、質疑の機会に執行部に対する質問だけでなく、議員同士の質疑を活発に行えば、現在でも可能は可能です。それでも、藤沢市議会のように議員間討議の時間を「別」に設けて行うことは、議員間討議を積極的に推進する上で大変効果的です。前述しましたように、議員の仕事はまず行政執行を市民の立場で「質す」ことではありますが。議員同士が賛否の意見を議論し合うことも大切です。今回は残念ながら見送られましたが、引き続き、「議員間討議」が制度としても実現できるように頑張ってまいります。
(3)代表質問
 本会議での議員の質問の種類としては、「一般質問」の他に「代表質問」があります。ただ、「代表質問」は議会によって実施しているところと実施していないところがあります。大和市議会では「一般質問」はかなり活発に行われており、毎回の定例会で多くの議員が「一般質問」を行います(大和市議会は慣例により、議長、副議長、監査委員は「一般質問」を自粛しています)。しかし、「代表質問」は行われていません。「代表質問」は、「会派制」を採用している議会において、会派を代表して市長の市政方針(予算案)について質問するもので、各会派の政策の違いが明確になり、市民に対してもわかりやすい議論を行うことができます。大和市議会は
「会派制」を採用していますから、「代表質問」を実施するべきと思いますが、多くの議員が毎回「一般質問」を行っている現状などから(一回導入されましが)、現在は行われていません。「代表質問」は、各会派の市長の行政執行についての見解の違いなども明確になります。議会改革実行委員会では多くの委員が同意しましたが、「全会一致」には至らず、今回は見送られました。今後とも他市議会の事例なども研究しつつ、大和市議会に合った形の「代表質問」実施を目指していきたいと考えています。
(4)やはり「全会一致」の見直しが必要
「大和主義! !」5/1号(No.111)にも書きましたが、議会改革を進めていくためには、やはり「全会一致」を改める必要があります。これまでも「全会一致」のルールのために見送られたものが幾つもありました。もちろん、「全会一致」を目指して議論することは大切ですが、どうしても「一致しないもの」については、何らかの方法で「決める」ことが必要です。民主主義ですからそれは「多数決」であるはずです。世の中は早いスピードで変わっています。議会改革もある程度のスピードが必要です。今後とも「市民のための議会改革」となるように、愚直に原則論を主張し続けます。