No.258 「図書館城下町」から「図書館の街」「読書の街」に

 大和市は、いつの頃から「図書館城下町」と名乗り始めました。お城もないのに「城下町」とはやや違和感がありますが、図書館を中心「街づくり」をしていこうということだろうと思います。「図書館」を中心に「街づくり」をしようという考えは、決して突飛なことではなく、幾つかの自治体が同様の取り組みをしています(佐賀県・武雄市は、その「魁(さきがけ)的」な取り組みが有名です)。大和市のホームページによれば「大和市立図書館を中心となるお城の本丸に見立て、北の出城として中央林間図書館、南の出城として渋谷図書館」と説明しています。要は大和市全体を「図書館」に見立てているともいえます。であれば、いっそのこと、大和市全てを図書館にしたらどうでしょう。といっても、また、新しい「箱もの」を作る事を提案しているわけではありません。ではどういうことか。私の構想はこうです。
 最近、「終活」の一貫として「断捨離」をする方が増えていると聞きます。その際、沢山の「本」が「断捨離」されます。捨てることもあるし、古本屋さんに売却することもあるでしょう。私自身もそうですが、「本」はなかなか捨てられないものです。そうはいっても場所もとるし、実際には「読み直す」ことは殆どないので、結局は処分することになります。そこで、市がそういった個人の蔵書の寄贈を積極的に受け入れて、「市民の蔵書」として広く活用するようにするのです。たとえば、商店街の空き店舗を活用して「街の図書館」にしてはどうでしょう。「断捨離」して出た「本」を地域の方が誰でも気軽に読める「空き店舗」を活用した「街の図書館」として全市的に展開するのです。商店街に多くの人が集まる「街の図書館」ができれば、商店街に人の集まる新たな「居場所」を創出することにもなると思います。それは、商店街の活性化にもつながります。シリウス図書館や中央林間図書館、渋谷図書館という立派な「お城」だけではなく、全市的に沢山の「ミニ図書館」が展開する「図書館の街」、「読書の街」に発展させるのです。これこそ、「図書館を中心に据えた街づくり」だと思います。併せて、それを推進する「条例」の制定も提案したいと思います。市民の皆様のご意見を是非お聞かせ下さい。

〇尾崎咢堂の「志」を受け継いで

 私の「プロフィール」に「咢堂塾卒塾」と書いてありますが、「咢堂塾」の「咢堂」とは「尾崎咢堂」のことです。尾崎咢堂は本名を「尾崎行雄」といい、明治時代から昭和時代・戦後まで、実に60年以上にわたって衆議院議員をつとめた人です。犬養毅と共に自由民権運動を牽引し、「憲政の父」「憲政の神」とも言われました。意外と知られていないのですが、尾崎咢堂は神奈川県津久井町(現在は相模原市緑区)の生まれです。国会議員時代は、三重県の選挙区から立候補していたので、「郷土の政治家」というイメージは薄いですが、晩年は逗子市に暮らし、お墓は鎌倉の円覚寺にあります。咢堂は、明治23年、32歳で第1 回衆議院議員総選挙に当選し、その後昭和27年まで連続25回の当選を重ねました。その間、日清、日露の戦争、第一次・第二次世界大戦を経験しています。幕末から昭和までを生き抜き、「藩閥」「軍閥」、時には腐敗した政党とも闘いました。彼は常に民意が尊重される民主的な政治を目指したのです。咢堂は政党を否定したわけではなく、いくつもの政党にも所属しています。ただ、咢堂が追い求めた政治は、政党のための政治ではなく、国民全体の利益につながる政治でありました。私も政党に所属する議員でありますが、それは、市民全体の利益につながる政治を行うための「手段」であり、決して、政党のための政治を目的にしているのではありません。これからも咢堂塾で学んだ咢堂翁の遺志を引き継ぎ、「大和と大和市民のための」政治の実現を目指し尽力してまいります。

 咢堂五訓
1. 人生の過去は予備であり、本舞台は常に未来にあり。
2. すべての虚偽と迷信を廃し、科学的な合理主義を第一として判断し行動せよ。
3. すべての問題は力闘によらず、理闘によって解決せよ。
4. 世人の幸福を増す言行は皆善事なり、これらを減らす言行はみな悪事なり。
5. 戦争の絶滅を期し、世界連邦の設立に協力せよ。

〇大和市の自由民権運動

 本市もかつては、自由民権運動が大変盛んな地域であり、特に下鶴間のあたりは、江戸時代に矢倉沢往還の宿場があったこともあり、板垣退助率いる自由党の熱心な活動家が政治活動を展開していました。今では、地方議会議員選挙の投票率が50%を切るような状況ですが、かつては本市にも「熱い」政治の季節があったのです。町田市立自由民権資料館には、本市の自由民権運動に関する資料も展示してありますので、機会があったら是非一度訪れてみることをお勧めします。私も平成28年9月定例会の一般質問でこの件をとりあげました。また、本市が令和2年に発行した「大和市の歴史」378頁以降にも「自由民権運動と市域」という見出しのもと、本市の自由民権運動の歴史について記載してありますので、一読をお勧めします(図書館にあります)。